セラピードッグとは?仕事内容やセラピー犬として活躍する方法
2022/01/21
目次
セラピードッグとは?
セラピードッグとは、人への忠誠心と深い愛情で高齢者を始め、障害を持つ方や病気の治療を必要とする患者さんの身体と精神の機能回復の補助をする犬のことをいいます。
セラピードッグたちが患者さんの心身の状態を向きあい、リハビリに寄り添うことで記憶を取り戻したり、動かなかった手や足が動くようになる効果があります。
そのような犬を育成する法人は近年増えてきており、犬たちの個々の能力や性格を大切に育て、対象となる方々の症状に合わせた治療のケアをしてくれます。
セラピー犬の仕事内容
ここ数年セラピードッグという言葉をよく耳にするようにはなりましたが、一体どんな仕事をするのかまで把握している方は少ないのではないでしょうか。
そこでここではセラピー犬の仕事内容についてご紹介します。
動物介在療法 AAT(Animal Assisted Therapy)
動物介在療法AATとは、医療現場で治療のために患者さんの心や体のリハビリテーションなどを目的としてセラピードッグが活動する補助療法のことを言います。
精神的または情緒的安定、身体的・社会的な機能の向上を目的を持って取り組むものなので、セラピードッグもハンドラーも2年以上の訓練が必須です。
また、AATで活躍するセラピードッグには忍耐力が要求されるので、ゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバー、ジャーマンシェパード、ボーダーコリーなど比較的知能が高い大型犬が向いていると言われています。
AATは主に精神科や介護施設、認知症や身体障害者、パーキンソン病などの患者さんに対して行い、表情が乏しい方や家族関係に問題を抱えている方、人との関りに不安を抱いている方などの治療のために、医療従事者主導で行われることになります。
ですが、治療を受けるにはまず「犬が大好き」という条件が必須となっているので、全ての人に行えるわけではないということを把握しておきましょう。
動物介在活動 AAA(Animal Assisted Activity)
動物介在療法AATとは、治療が目的ではなく、犬との触れ合いを楽しむことを中心としたレクリエーションのことを言います。
犬と一緒にレクリエーションを楽しみ、触れ合うことで情緒的に安定したり、リラックス効果やストレス解消効果が期待できるでしょう。
高齢者福祉施設の訪問やホスピスなどでよく取り入れられており、一度に大勢の人と触れ合えるメリットがあります。
また家族がいない高齢者がセラピードッグと触れ合うことで、穏やかなスキンシップの時間を持てたり、心身に大きな癒しの効果を与えることもできます。
動物介在教育 AAE(Animal Assisted Education)
動物介在教育AAEとは幼稚園や小学校などの教育現場で、子供たちが動物とのふれあい方や命の大切さを学ぶことを目標とした活動を言います。
近年、生活科や総合学習などのプログラムとして、AAEを導入する教育現場も徐々に増えており、教育活動の一環としてセラピードッグを使います。
またセラピードッグと触れ合うことによって、動物愛護や動物福祉について考える機会になったり、知識を深め理解してもらうことにも繋がるため、貴重な教育活動となるでしょう。
セラピー犬として活躍する方法
さまざまな活動をしているセラピー犬ですが、どんな犬種でも簡単にセラピー犬になれるかと言えばそうではありません。
受験資格や認定試験などがあり、それらをクリアした優秀な子がセラピー犬として活躍できるわけです。
ここでは、セラピー犬として活動する方法をご紹介します。
まずはトレーニングを受ける
セラピー犬になるためには、民間の団体が実施している認定試験に合格し、資格を取得しなければいけません。
そのため、試験に合格するためにさまざまなトレーニングを受ける必要があります。
どんなトレーニングを受けるのかをご紹介します。
トレーニング①:アイコンタクト
アイコンタクトとは、文字通り人と犬が目を合わせることを言います。
これはセラピー犬だけに限らず犬を飼うとなった以上、しつけの基礎であり、主従関係を築くためにもアイコンタクトは非常に重要と言えるでしょう。
犬はアイコンタクトを通して信頼関係を深め、相手の気持ちや体調を感じ取ったりするので、セラピー犬になるために大前提の条件と言えるでしょう。
トレーニング②:同速歩行(ヒール)
ハンドラーのペースに合わせ、同じスピードで歩くことを言います。
アイコンタクトはしつけの基礎でしたが、ヒールは訓練の基礎と言えるでしょう。
人が歩く際に邪魔をしないよう適切な距離を保ちつつ、左側で一緒に歩きます。
早足やゆっくりな速度に対応することはもちろん、障害物がある場合の歩行も訓練します。
医療・福祉・介護の現場では、杖をついたり、車いすに乗っていたりと速度を合わせる相手はさまざまです。
車いすの同速歩行は、ブレーキの音を聞き分けたり、エレベーターに乗ったり、車輪に巻き込まれないよう気をつけたりと決して簡単ではありません。
トレーニング③:ケインウォーク
主に、高齢者と同速歩行することを言います。
特に遅い歩行に合わせる訓練で、杖をついてゆっくり歩き犬に速度を理解させます。
また、中には棒で虐待を受けていた犬がセラピー犬になる場合もあります。
過去に棒で叩かれたことがある場合は、杖を怖がるのでそれを一緒に乗り越えるのもトレーニングの一つです。
速度だけではなく、不規則な動きにも合わせられるようにするため、高齢の方や杖をついて歩く方はもちろん、ケガや病気の後遺症がある方に合わせて歩く訓練も行います。
トレーニング④:ベッドマナー
ベッドマナーは最終段階の訓練です。
このトレーニングは寝ている人への対応として必要になる訓練です。
部屋に入るところから、ベッドのうえでの動き、ベッドから離れるとき、部屋を出るところまで一連の動きを身につけます。
セラピー犬に適した犬種とは?
セラピー犬は、一般の家庭で生活している家庭顕から保護犬までどんな子でも目指すことは可能です。
セラピー犬の適正として、人が好きであること、人見知りをしないこと、他の動物を警戒しないこと、初めての場所や大きな音を怖がらないこと、基本のしつけが完璧であること、健康であることなどが求められます。
セラピー犬として活動できる年齢は、団体によって異なりますが、成犬(月齢8か月~1歳以上)が基準となっています。
特に適している犬種はありませんが、人が大好き、優しい、温厚という面から考えると、
大型犬ではゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、小型犬ではトイプードルやミニチュアダックスフンドなどがセラピー犬として多く活躍しているのが現状です。
セラピー犬による効果
最近の実験でアニマルセラピーを受けると赤ちゃんに母乳をあげる時に出されるオキシトシン(愛情ホルモン)が分泌されていることが判明しています。
この研究からセラピー犬は人に癒しを与える効果があると実証され、大きく分けると人間に3つの効果をもたらせてくれているのでここではその3つの効果についてご紹介します。
効果①:心理的効果
心理的効果とは、セラピー犬が無条件で心を開いていることで、精神的に心の中のストレスをを軽減する効果があります。
例えば、セラピー犬を抱っこすることで、不安や悩みを周囲に打ち明けることができるようになる患者さんもいるということです。
認知症の患者さんなどは、セラピー犬のことが大好きになり、何かしてあげたいという自発性を生みますし、セラピー犬が静かに寄り添ってくれることで自分を必要としてくれていると感じ、心が豊かになる効果があります。
効果②:社会的効果
社会的効果とは、孤立や疎外感を感じていた方が自ら社会に出られるようになり人とコミュニケーションを取ろうとする効果のことです。
実際にアニマルセラピーを導入している介護施設では、セラピー犬が間に入ることで周りとなかなか会話ができなかった方が積極的に話せるようになることがあります。
また、引きこもり外出が苦手な場合、セラピー犬に会うという動機づけをすることで社会参加を後押しすることもできるでしょう。
効果③:生理的効果
生理的効果とは、脳の活性化や副交感神経が活発になる効果があります。
例えば、セラピー犬を撫でたり抱っこや名前を呼ぶことで、感情のコントロールや物事を整理処理をする前頭葉の機能が活発になります。
また、副交感神経が活発になることで、精神が安定し、呼吸や脈が落ち着いたり血圧が下がる効果も期待できるでしょう。
リハビリ中の場合、セラピー犬と遊んだ理触れ合いたいという気持ちから、リハビリを頑張ろうという意欲を高める効果もあります。
まとめ
今回はセラピードッグについてご紹介してきました。
セラピードッグは高齢者やケガ、病気の方だけではなく、心に傷を抱えている方の気持ちも変えてくれる素晴らしいパワーを持っています。
そんな犬がたくさん増えればとても嬉しいことですよね。
愛犬を飼っている方でもしセラピー犬にならしたいなと思っている方はぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
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