【要注意】猫も貧血になる?原因や症状・隠れた病気の可能性など
2022/03/22
目次
猫も貧血になる?
人間はよく貧血になるイメージですが、猫も結論からいうと貧血になります。
理由は後にご紹介しますが、猫が貧血になるメカニズムは血液中に含まれる赤血球の数や濃度が減少し、酸素を全身に十分に送ることができなくなることから貧血が起こるようです。
人の場合に多い、貧血体質ではなく、猫の場合は病気によって引き起こされることが多いのが特徴です。
猫の貧血の原因
猫の貧血は病気によって引き起こされることが多いとのことですが、どんなことが原因となるのでしょうか。
ここでは猫の貧血の原因をご紹介します。
原因①:赤血球を作れない
赤血球には寿命があり、猫の赤血球の寿命は約90日と言われています。
血液中の赤血球の数を一定にしておくためには、常に赤血球を作り続ける必要があるのですが、血液中の赤血球の数が数泣くなると腎臓から赤血球を増やすように指令が出されるのです。
それを受けて、骨の中にある骨髄という部分が赤血球を作りだすのですが、この一連の流れがうまく機能しないと、赤血球の製造がストップし、貧血になってしまうのです。
赤血球が作れなくなる病気は主に3つあるのでそれぞれ解説していきます。
● 猫白血病ウイルス(FeLV)&猫免疫不全ウイルス症(FIV)
猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスが骨髄に感染して発症すると、骨髄がうまく働けなくなって、赤血球の生産が低下することがあります。
他にも貧血になる原因はさまざまで、内分泌疾患による貧血、赤芽球癆(せきがきゅうろう)、再生不良性貧血、非再生免疫介在性溶血性貧血、骨髄増殖性疾患などが考えられます。
● 鉄分の不足
赤血球を成分するためには鉄分は欠かせません。
そのため、鉄分が不足していると赤血球を作ることができなくなります。
成長期や妊娠期など、通常以上に鉄を必要としている時期に偏った食事をしていると起こることがあるでしょう。
また、慢性的な消化管出血やノミなどの外部寄生虫の大量発生でじわじわ血液が失われていくと、鉄分も少しずつ失われていき、貧血を起こすことがあります。
● 慢性腎臓病
赤血球の数が減った際、赤血球を増やすように指示を出す臓器が腎臓です。
ですが、慢性腎臓病などで腎臓がダメージを受けてしまうと、このサインを出すことができなくなります。
サインが出てこない限り骨髄は動けないので、慢性腎臓病の猫が貧血になることはよくあるでしょう。
原因②:溶血
溶血とは赤血球が体内で壊れてしまう状況で、赤血球が破壊される原因として代表的な病気をご紹介していきます。
● 病原体が招く貧血
ヘモプラズマという病原体に感染すると、貧血を引き起こします。
ヘモプラズマは猫の赤血球に寄生して破壊してしまう病原体で、マダニやノミ、さらにヘモプラズマに感染している猫を介して感染すると言われています。
感染した猫とのケンカによる傷や母子感染でうつることから、別名「猫伝染性貧血」とも言われています。
● 免疫病が招く貧血
ウイルスや細菌などの異物が体内に侵入すると、それらを攻撃してやっつけてくれるのが免疫機能です。
ですが、猫白血病ウイルス感染や腫瘍などの病気にかかると、免疫機能が正常に働かなくなることがあります。
自身の赤血球を異物と認識してしまい、赤血球を攻撃してしまうことから起こります。
免疫介在性溶血貧血と呼ばれ、いわゆる免疫病の1つです。
● 中毒が招く貧血
玉ねぎ、ネギ、ニラ、ニンニクなどのネギ類には、猫の赤血球を破壊するアリルプロジスファイドという成分が含まれています。
猫がネギ類を食べると赤血球が破壊されて貧血になってしまいます。
他にも人間の風邪薬や痛み止めに含まれているアセトアミノフェンにも同じような毒性があるので、ネギ類の食べ物と人間の薬を間違って食べないよう十分注意することが重要です。
原因③:大量出血
大きなケガをしたり手術をして傷口から大量に出血した場合、当然必要な血液量が足りなくなるので貧血が起こります。
また、消化管潰瘍(胃潰瘍など)や消化管の腫瘍(リンパ腫や腸腺ガンなど)から、慢性的に出血が起こることもあるので、外傷がなく貧血を起こしている様子が見られる場合はすぐに受診してくださいね。
猫の貧血の症状
貧血が目に見えないことが多いため、どんな症状が見られるのかわかりませんよね。
そこで飼い主さんの観察がとても重要になってきます。
ここであ、猫の貧血の症状についてご紹介していきます。
一般的な貧血の症状
一般的な猫の貧血の症状は、元気がなかったり、動くのを嫌がったり、食欲不振、呼吸が苦しそう、口の中の粘膜が青白くなる、白目や口内の粘膜の横断、おしっこの色が濃く赤茶色になるという症状が見られます。
放置しておくと重症になってしまう可能性があるので、普段と違う様子が見られたらすぐに受診するようにしましょう。
見た目で分かるケースも
一般的な貧血の症状は一瞬で見極められることが少ないため、見逃してしまうこともあるでしょう。
ですが、人間と同様、猫も貧血になると顔や体の一部に変化が起こります。
どんな猫でもわかりやすいのは口の中です。
前述したように、猫の毛柄によっては、鼻、肉球、耳の内側などに色の変化が見られることがあります。
健康な状態ではピンクなのが、青白くなりますが、ほとんど見た目に変化がないこともあるので、健康な時の愛猫はどんな色をしているのか予めチェックしておくことが大切です。
目立った症状が出ないことも
貧血の初期は目立った症状が出ないこともあります。
人間の貧血は、立ち眩みや卒倒する「脳貧血」のイメージがあるのと同じように、猫も急性に生じた場合は、失神することも。
ですが、失神はまれなケースです。
猫の貧血に隠された病気とは?
猫の貧血の原因にはさまざまですが、中には病気によって貧血が引き起こされている場合もあります。
ここでは、猫の貧血に隠された病気についてご紹介していきます。
慢性腎不全
腎臓は尿を作る臓器として知られていますが、体内のバランスを整えたり、血圧を調節したり、ホルモンを分泌したりする働きもあります。
腎臓が分泌しているホルモンの中の1つが、エリスロポエチンという造血ホルモンで、これは骨髄に対して赤血球を作るように促すホルモンです。
そのため、腎臓の機能が低下してしまうと、赤血球が作られなくなっていき、非再生性貧血を起こす原因となってしまうのです。
免疫介在性溶血性貧血(IMHA)
免疫機構の異常により、自分自身の赤血球を破壊してしまうことが起こる重度の貧血です。
特に他の原因がなく、突然免疫異常が発生した場合の原発性と、腫瘍や感染など他の要因により引き起こされた二次性の場合があります。
二次性の場合は、免疫を抑える治療と併せて、原因に対する治療も必要となってくるでしょう。
ハインツ小体性貧血
タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラなどのネギ類の大量摂取や、アセトアミノフェンなどの薬物投与により、赤血球の寿命が短くなって溶血性貧血を引き起こします。
猫の場合、糖尿病、甲状腺機能亢進症、リンパ腫などの病気でもハインツ小体性貧血を起こすでしょう。
これらの病気の場合は、治療する際に、貧血が重度であれば輸血が必要になることもあると言われています。
まとめ
今回は猫の貧血についてご紹介してきました。
人間の貧血であれば少しおかしいとちゃんと症状を話して早期治療をすることができますが、猫の場合は言葉が話せない分、発見が遅れて重度の貧血になってしまうことも。
そうならないためにも、少しでもおかしい症状が見られる場合はすぐに受診するようにしてくださいね。
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