【要注意】猫がなりやすいガン「リンパ腫」とは?原因・症状・予防法など
2022/04/18
目次
猫のリンパ腫とは?
猫のリンパ腫とは、リンパ球のガンで発症する部位により症状が異なります。
リンパ球とは、免疫に関わる細胞で、体内で細菌やウイルスなどの侵入を阻止したり、攻撃したりする働きがあります。
猫の病気の中でも重い疾患であり、猫の腫瘍の中では比較的多く見られますが、発症すると治療が長期になることもあるでしょう。
猫の腫瘍の中の60%~90%がリンパ腫と言われているので、少しでも愛猫の体に違和感を感じるようであれば検査を受けることをお勧めします。
猫のリンパ腫の原因
猫がリンパ腫にどうやって羅漢するのかはわかっていないのですが、体を作る細胞の遺伝子が何らかの原因で傷つき、変異してしまい、異常な細胞が増殖してリンパ腫を発症すると考えられています。
ここでは猫がリンパ種になる原因についてご紹介していきます。
原因①:タバコの曝露
喫煙者のいる家庭で飼育されている猫は、喫煙者のいない家庭と比べてリンパ腫になるリスクが約2.4倍高かったと報告されています。
また、このタバコの曝露が5年以上であると、発症リスクが3.2倍にあがったという結果もあるようです。
この他には、まだ猫では知られていませんが、人などでは環境中の有機溶剤や除草剤、殺虫剤などの曝露も発症リスクが上昇すると言われているため、自由に自宅内を出入りさせている猫は室内猫に比べて羅漢する率が高いかもしれませんね。
原因②:ウイルス感染
猫白血病ウイルスは、猫がリンパ巣になる要因として昔から知られていました。
猫白血病ウイルスに持続的に感染している猫の約20%がリンパ腫に罹ったという報告があり、羅漢リスクは高いと考えられます。
また、猫エイズウイルスは、エイズウイルスの感染により免疫力が低下し、間接的にリンパ巣に羅漢しやすい傾向にあります。
また、これらのウイルス感染の猫は比較的若くリンパ腫を発症する傾向にあると言われているようです。
原因③:慢性炎症や老化
高齢になるほどガンを発症しやすいのは猫も同様です。
老化に伴い細胞も傷つきやすく、またそれを修復する能力も衰えていきます。
これにより遺伝子の変異のリスクがあがり、ガンが発祥しやすくなるとされています。
また、慢性炎症もリンパ腫の発症と関連があるかもしれないということですが、これに関してはまだわかっていません。
原因④:免疫力の低下
病気になった猫やシニア猫はどうしても免疫力が低下しがちです。
免疫力の低下や免疫異常は、ガン細胞の増殖と関連すると考えられ、また免疫抑制剤などの治療を長期行うことでリンパ腫の発症リスクがあがる可能性があります。
猫のリンパ腫の症状
前述したように猫のリンパ腫は発生した部位によって症状はさまざまで全てのリンパ腫に共通した症状としては、元気喪失や食欲不振、体重減少などが挙げられます。
ここでは、代表的なリンパ腫の特徴と症状について詳しくご紹介していきます。
多中心型リンパ腫の症状
リンパ節は全身にありますが、多中心型リンパ腫では特に顎の下、鎖骨の内側、脇の下、ひざの裏、内股の付け根などの体の表面にあるリンパ節が丸く大きく腫れるのでそこまで腫れてくると比較的肉眼で発見しやすいでしょう。
主な症状は元気喪失・食欲不振・体重減少・発熱・抹消リンパの腫れなどが挙げられますが、初期には無症状のものも多いです。
若い猫に見られ、猫白血病ウイルス感染症の要請率が高いことが特徴となっています。
消化器型リンパ腫の症状
猫のリンパ腫の中でもっとも多く見られるタイプで、胃や腸管などに発症し、特に小腸や腸間膜での発症が多いと言われています。
嘔吐や下痢、元気喪失、食欲不振、体重減少などの症状が見られ、10歳以上のシニア猫の発症率が高いです。
また、猫白血病ウイルス感染症の陽性率は低いでしょう。
縦隔型リンパ腫の症状
胸の中のリンパ節に発生するリンパ腫です。
肋骨より内側の部位で発生するため、触診では確認できず、レントゲンや超音波検査などで確認をします。
主な症状は呼吸困難、咳、吐出、呑み込みが難しくなる、胸に水がたまるというものです。
もし、口を開けて呼吸をしている場合、重症化している可能性がありますので、早めに動物病院に連れて行きましょう。
シニアの猫によく見られ、猫白血病ウイルス感染症の陽性率が高いのが特徴です。
猫のリンパ腫の予防法
猫のリンパ腫は猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルス感染によりリンパ腫による確率があがるので、これらのウイルス感染を予防することで、ウイルスの影響によりリンパ腫になる危険性を避けることができます。
予防する方法としては、完全室内飼育をすること、獣医師と相談して必要であればワクチン接種を行うことなどがありますが、いつもと違う様子が見られた場合はすぐに受診し、診察を受けましょう。
猫のリンパ腫の治療
猫のリンパ腫の治療には病気の進行度によりますが、抗がん剤を複数組み合わせて使用する多剤併用療法を行うことが一般的です。
多剤併用療法の抗がん剤の組み合わせは、病気の進行度や猫の年齢によって変わることがあります。
また、リンパ腫が発生している部位によってさまざまな症状が出ますので、それに対する対処療法を行います。
ここでは、実際にどのような治療が行われるのかをご紹介します。
放射線療法
放射線療法はリンパ腫の治療成績が良いことが知られており選択肢に入りますが、特別な機材が必要になります。
そのため、希望する場合には、獣医さんに相談して放射線療法を実施している動物病院への紹介状を書いてもらってください。
抗がん剤治療
主に行われている抗がん剤治療は猫の年齢・猫白血病ウイルス・猫免疫不全ウイルスの感染の有無・リンパ腫のステージや発生部位によって期待される反応性が変わってくることが知られています。
まれに、胃腸障害や骨髄抑制、脱毛などの副作用が見られることもありますが、入院が必要になるケースは10%程度です。
なお、抗がん剤治療は通院回数が多くなりがちでコストがかかりますし、副作用のコントロールに注意を払う必要があるので、先生とよく相談して治療方針を決定しましょう。
そして、リンパ腫が孤立性であることが確認できている場合は外科的な手術による切除も選択肢に入ることもありますが、まれです。
リンパ腫は治せる?
リンパ腫を含むガン治療においては、「完治」という言葉は現在使われていませんが「寛解」という言葉が使われます。
寛解とはガン細胞が減少して症状が出なくなった状態を言います。
リンパ腫はガンの中でも抗がん剤の反応性が良いことが知られていますが、残念なことに猫のリンパ腫は犬のリンパ腫に比べると治療成績が芳しくないのが現状です。
それでも過去のデータから抗がん剤治療により約70%の猫で緩解したことが報告されているので、リンパ腫になったらすぐに死に直結するということはないでしょう。
抗がん剤治療によってリンパ腫をコントロールすることができ、症状が出なくなったら投薬を中止し経過観察を行う場合がありますが、再発の可能性もあることを念頭に入れておきましょう。
まとめ
今回は猫のリンパ腫についてご紹介してきました。
猫のガンの中で発症しやすいリンパ腫ですが、発生部位によって治療法などが変わってくるため、今回ご紹介したような症状が見られた場合は、すぐに受診し早めの治療を開始するようにしましょう。
完治することはない病気であっても治療実績があがっていることから、忍耐強く治療を続ける病気なので、最後まで諦めずに治療をしてあげてくださいね。
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