猫にできものができたら?しこりができた時に考えられる7つの病気と対処法など
2021/01/09
目次
猫にできものができたら?
愛猫を撫でていたら、何かできものを見つけたことはありませんか?
原因の分からないできものができると不安になりますよね。
できものと一口に言っても、体にできるもの、目の中にできるほくろのようなもの、口に中にできるもの、毛穴のつまりによるにきびのようなものから、腫瘍(しゅよう)などなど様々です。
問題のない場合もありますが、癌などの大きい病気などが潜んでいる可能性もあり、放っておくと、できものが大きくなったり、病状が悪化して、命に関わる状態になってしまう可能性もあります。
どの場所にできても、悪性でないか早期に検査する必要がありますね。
猫は皮膚トラブルによるできものは少なく、できもの=皮膚が隆起した状態の「しこり」がある場合、それは腫瘍(しゅよう)である可能性が高いです。
今回は猫の「しこり」について、考えられる病気や、対処法、予防法などをご紹介します。
猫のしこりの原因と考えられる病気
しこりは、できた箇所や原因によりますが、痛みがあるかないか、触診したときに硬いか柔らかいかなどのさまざまな形態をとります。
腫瘍というと、癌(がん)をイメージすると思いますが、
・良性(転移を起こさず健康に影響がない)のもの
・悪性(転移したり腫瘍が大きくなることで健康に悪影響がでる)のもの
がありますので、しこりがあったからといって「悪性の腫瘍(がん)」とは限りません。
早期に正しい検査を行い、良性か悪性かを見極め、適切な処置をすることが大切です。
猫の腫瘍としては、以下の7つの病気がよく見られます。
扁平上皮癌
扁平上皮由来の悪性腫瘍で、猫で一番よくみられます。
白い毛の猫で発生が高くなります。
猫の場合、顔(鼻や耳、まぶたなど)など、日光にさらされる部位に発生することが多く、外傷のようにみえたり、かさぶたのように見えることもあります。
メラノーマ
メラノサイトと呼ばれる細胞由来の腫瘍です。
体表にできるものは悪性と良性どちらもあり、いずれも高齢の猫で発症することが多いです。
皮膚型リンパ腫
リンパ腫は、免疫を担当している細胞であるリンパ球が、がん化したもので、猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)感染により発生のリスクが高まります。
特に、皮膚型のリンパ腫で腫瘤が認められることが多く、発生する場所や数はさまざまです。
単発で生じたり、いろいろな部位に多発したりすることもあります。
主に中~高齢の猫で発生する悪性腫瘍です。
肥満細胞腫
肥満細胞由来の悪性腫瘍で、悪性度の低いものから高いものまでさまざまです。
皮膚型肥満細胞腫は良性で自然に退縮するものが多いですが、内臓に発生する悪性のタイプあります。
これは、脾臓と消化管に生じることが一般的です。
内臓の肥満細胞腫が原発で、皮膚にできているものが転移する場合もあります。
乳頭腫
扁平上皮由来の良性腫瘍で、パピローマウイルス感染が原因と考えられています。
若い年齢で出来ることが多いです。
脂肪腫
脂肪細胞由来の良性腫瘍で、中齢以降の猫でみられることが多いです。
単発でできることが多いですが、同時に複数個生じることもあります。
乳腺腫瘍
猫の乳線腫瘍は、避妊手術をしていないメス猫で多く見られ、ほとんどの場合で悪性です。
乳腺腫瘍は乳腺がある場所(お腹の下のほうの乳首の近く)に発生し、ひとつから複数のちいさなしこりを作ります。
進行すると大きくなり、自壊し出血を伴うことがあります。
場所によっては良性でも致命傷となる
例えば、鼻腔の中にできものができた場合、転移をしない良性腫瘍でも、場所によっては大きくなれば命にかかわる事もあります。
猫は口呼吸を普段しないので、咽頭のバリアが少し弱いと言われることもあります。
そのため、鼻腔が閉じたことで、口呼吸での感染や合併症を起こす危険性もあり、鼻腔のできものが良性であっても早期の治療が必要でしょう。
鼻腔以外の場所であっても、生活に支障がでるもの、食事がしづらくなるものなど、QOL(生活の質)が下がるものは良性でも完全切除などの手術が必要になることがあります。
良性だからといって、放置することはないようにしましょう。
しこりができた時の対処法
①場所を明確に覚えておきましょう。
猫は被毛が密なので、小さいできものだと探し出すことが出来ずに治ったと勘違いすることがあります。
目に見てわかるほど大きくなっていると、悪性の場合は転移することもあるので、なるべくできものが小さいうちに、若干の変化であっても経過を見せにかかりつけの動物病院へ行くと良いでしょう。
自宅でできものを発見したら、
・大きさ
・感触
・動くかどうか
・境目はどうか
といった点を確認し、その後はそれ以上触るのはやめましょう。
腫瘍ではなく、体液や膿などが溜まっている場合は、触ることによって破裂することもあります。
また、触った摩擦で愛猫が嫌がったり、それが引き金で愛猫がかき壊してしまうこともあるので、出来る限りそっとしておいてください。
良性であることが多いできもの
良性であることが多いできものは、
・盛り上がっているできものと皮膚の境界線がはっきりしているもの
・色が皮膚の色と同じもの
・触ると中に液体が入っているようなもの
・芯がなく皮膚と一緒に動かせるようなもの
と言えます。
ただし、“多い”だけなので、すべて上記に当てはまるからと言って安心するのは禁物です。
悪性であることが多いできもの
反対に、
・正常な皮膚とできものの境界が不明瞭なもの
・色が黒や赤黒い
・芯があるように感じるほど硬く
・皮膚よりも下へ根を張っているように思えるもの
は悪性度が高いかもしれません。
急速に大きくなるできものにも注意が必要です。
②動物病院へ行く
いずれにしても、できものは見た目では何であるかはわかりません。
放置せずに自己判断は避け、気になる場合はなるべく早めにかかりつけの動物病院を受診しましょう。
しこりができた時の治療
悪性腫瘍が疑われる場合、どのような治療するのか心配になる飼い主さんもいるのではないでしょうか?
治療法は、腫瘍の大きさや種類によって変わってきます。
次に腫瘍が出来た際の治療法を4つご紹介します。
外科治
外科治療は、腫瘍があまり大きくなく転移が見られない場合、第一選択となります。
ただし、腫瘍を外科的に切除する場合は、再発・転移予防のために組織を大きめに切り取る必要があり、腫瘍の大きさによっては身体欠損部位が大きくなってしまうことがあります。
外科手術によって傷跡は残りますが、猫は被毛があり、皮膚がやわらかく伸びやすいため、傷跡はあまり目立ちません。
化学療法
リンパ腫といった一部の悪性腫瘍は、化学療法(いわゆる抗がん剤治療)が確立されています。
副作用の可能性がありますが、猫の健康状態を見ながら投与量を調整し、重篤な副作用が出ないように注意を払って治療を進めます。
放射線治療
一部の悪性腫瘍では放射線療法が有効ですが、対応している病院が限られているため、かかりつけの獣医師さんに紹介状を書いてもらう必要があるかもしれません。
免疫療法
人間の悪性腫瘍と同様に猫の免疫療法の研究も進んでおり、一部の病院では悪性腫瘍の治療法として免疫療法が取り入れられています。
猫の悪性腫瘍に対する治療は、ひとつの療法で行うこともあれば、これらの方法を組み合わせて治療にあたる場合もあります。
猫のしこりを予防するには?
ワクチン接種
リンパ腫は、猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスの感染によりリスクが増大します。
これらのウイルス感染に対しては、ワクチン接種が有効ですので必ずワクチン接種をするようにしてください。
また、メス猫の乳腺腫瘍は、ホルモン誘導性があり避妊手術によってそのリスクを低下させることが知られています。
繁殖の予定のない猫は避妊手術が予防として有効です。
日頃の観察
普段からブラッシングやシャンプーなどの時に、猫の体を触って何か異常がないかを確認するように心がけておけば早期発見につがります。
まとめ
猫のできものについて、考えられる病気や治療法、対処法についてご紹介しました。
猫を撫でる行為は、猫の飼い主さんの多くは自然に行うものなので、あまり意識していない方も多いかもしれません。
しかし猫のできものは、問題ないものであることもありますが、腫瘍であることが多いです。
愛猫の変化にすぐ気づけるよう、スキンシップはなるべく多く取るようにしましょう!
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