猫の嗅覚が優れている理由やその役割とは?匂いの好き嫌いなども
2022/03/15
目次
猫の嗅覚が優れている理由
猫というと、発達した身体能力や柔らかい体つきを思う浮かべるかもしれません。
しかし、人間と比べると嗅覚が優れており、呼吸の他にも様々な情報収集を行う優れた器官として機能しています。
ここでは、そんな猫をよく知るきっかけとなるような嗅覚についてご紹介していきます。
猫の嗅覚は大切な情報源
生まれたばかりの赤ちゃん猫は、お母さん猫から離れたら生きていくことが難しくなります。
生きる術として生まれてすぐでも嗅覚が発達している赤ちゃん猫は、おっぱいがどこにあるのかちゃんと見つけることが出来ます。
目がしっかりと開いて見えるほど成長しても、視力に頼らない生き物である猫は嗅覚で仲間の居場所やご飯の位置など判断することが多いといわれています。
他にも、敵の侵入や危険な存在の気配を嗅覚と聴覚で敏感に感じ取ることも可能で、安全な生活を送るための情報網として利用しています。
湿った鼻が嗅覚をサポート
猫の鼻はいつも湿っているけれど何故?と、感じることはありませんか。
逆に熟睡している時や寝起きの時は、乾いていることが多いはずです。
また、脱水や老化現象として鼻が乾くこともありますが、健康でも乾いていることはよく見られるので気になる症状がなければ心配の必要はありません。
鼻の湿り気は、鼻腔内からの分泌液によるもので濡れていることによって匂いをより吸着しやすくする効果があります。
乾いた鼻は匂いをキャッチしにくい状態となり、感知能力が下がってしまいます。
猫の嗅覚は人間よりも遥かに良い
人間と比べると、猫の嗅覚は約数万から数十万倍も発達しているといわれています。
これは、匂いを人間よりも強く感じているというよりも、ほんの僅かな匂いでも気づくことができるという優れた感度を意味しています。
野生で生活してきた肉食である猫の祖先は、生きるために獲物の位置や存在を正確に読み取っていました。
家族として一緒に生活している猫が、自分の匂いを飼い主様に擦り付けてきたり着ていた洋服の上で眠ってしまったりする行動も、人には感じない程の僅かな匂いに安心している証拠ででしょう。
猫の優れた嗅覚の役割
生きるために大切な役割を持つ嗅覚を生まれた時から身に付けている猫ですが、身を守るためや猫同士の関係性にも関わると考えられています。
では、実際に嗅覚によってどんなことができるのでしょうか。
役割①:縄張りを確認するため
猫は縄張りを持つ動物として、自分のテリトリーである場所に頬の両側や顎の下を擦り付ける様子がみられます。
この体の場所には臭腺という分泌線がありマーキングをするのですが、場所や家具の他に、飼い主様の体にもスリスリしてくることはありませんか。
縄張りや所有権を主張しているこの行動は、まさしく飼い主様が下僕と呼ばれる理由になっていますね。
また、匂いを確認してその場所がどの猫の縄張りなのかを判断しているといわれています。
役割②:挨拶をするため
可愛い仕草として猫好きにはよく知られている鼻チューですが、本当にキスをしている訳ではなくお互いの鼻同士を寄せ合って匂いを確認しているんです。
仲が悪い猫同士では絶対にしない行動で、「こんにちは」「喧嘩するつもりはないよ」と挨拶をしています。
また、匂いによって行動や相手の情報を確かめているとも考えられていますが、親密度が高い猫同士は頻繁に行うので多頭飼いしている飼い主様はじっくりと観察してみてはいかがでしょうか。
役割③:相手の情報を確認するため
鼻チューで確認し合ったら、より匂腺が強い体からお尻へと移動し相手をより良く知ろうとします。
肛門近くにある匂腺は、猫の体調や年齢に性別といった履歴書のような情報が組み込まれており自分より優位なのか発情しているのかも確認できます。
また、先にお尻を嗅いだ猫が優位に立つとも考えられており、単独行動を好む猫が背中を見せるのは不利な状況ともいえるでしょう。
役割④:食べ物の判別をするため
嗅覚が発達している猫は、食べ物の匂いを念入りに嗅いで食べても大丈夫なのか、腐敗していないかをチェックしています。
味覚より嗅覚でご飯を食べるといわれている猫は、匂いによって美味しいかどうかの判断をします。
ねこ風邪や病気などで鼻が詰まった猫は、食べ物の認識がしづらく食欲不振になることもあるでしょう。
もし嗅覚が利かないことでご飯を食べなくなった場合は、匂いの強い嗜好性の高いオヤツをトッピングしたり少し温めて匂いを強くしてあげると食べてくれるかもしれません。
鼻が利かない状態は体調が悪いことを表していますが、食欲まで失われてしまうと余計回復が遅くなります。
そのくらい、匂いは猫にとって大切なんですね。
猫の嗅覚が好む匂いは?
猫は人間と同じく好きな匂いと嫌いな匂いがあり、どちらかというと強い匂いを好む傾向にあります。
また、嫌いな匂いがいつも近くにあるような環境は、大きなストレスとなりますので気をつけてあげましょう。
では、好きな匂いをいくつかご紹介していきます。
魚類の匂い
猫といえば、魚が好きなイメージはありますよね。
キャットフードもカツオやアジにマグロといった、美味しいそうな香りのフードがたくさん販売されています。
飼い主様が、ご飯のおかずに焼き魚を用意すると近くまで寄ってきて、いかにも欲しそうな顔で見つめている姿はあるあるの光景ではないでしょうか。
匂いを嗅がせること自体は大丈夫ですが、塩分の多い身をお裾分けする行為は控えましょう。
猫の健康を脅かす原因となり、濃い味付けに慣れるとフードを食べてくれなくなる可能性もあります。
またたびの匂い
キャットニップやまたたびは、うっとりとしたりテンションアップしたりしてお気に入りの猫が多いのではないでしょうか。
またたびに含まれる成分によって猫の中枢神経を刺激し、酩酊しているような状態が見られることから依存性の心配をされる方も多いのですが、その心配はないと考えられています。
ストレス解消や食欲アップなど、健康に良い効果を期待できますが、使い方によっては逆効果となる場合もあります。
刺激が弱い粉末タイプを、用法用量や対象年齢を守ってご褒美として与えましょう。
飼い主の匂い
甘えん坊の猫や、飼い主様が大好きな猫は飼い主様の使ったタオルや布団、1日着ていた洋服などに付いた匂いが大好きです。
お留守番やペットホテルに預ける際に、飼い主様の匂いが付いた物を一緒に預けると落ち着いて過ごしてくれるはずです。
人間には感じ取れないわずかな匂いでも、鋭い嗅覚のおかげで大好きな飼い主様の匂いを感じ安心してくれるでしょう。
猫の嗅覚が嫌う匂いは?
猫が嫌いな匂いには、本能的なものが一因しています。
もし誤って口にしてしまうと害となるものもありますので、「嫌いだから食べないはず」と思わず注意してあげてください。
洗剤の匂い
洗剤の香料が苦手な猫は多いようです。
今現在たくさんの種類が販売されている柔軟剤は、人間には良い香りとして認識されますが洗濯後に放置したり、猫の通り道に容器を保管したりすることは避けましょう。
基本的に家の中で生活する猫が、家は嫌なものや敵がいない安全な空間として生活してもらうために注意します。
他にもペットベッドやウエアを洗濯する際は、ペット専用の洗剤を使用すると安心です。
スパイシー系の匂い
胡椒や唐辛子といった香辛料の強い香りは、猫にとって刺激が強く苦手としています。
何でも好みに応じて食べる人間とは違い、辛さや刺激は猫にとって不要のものなのです。
万が一、口にしてしまうと胃腸を壊したり体調不良となったりする場合も考えられますので、人間の食べるものに何でも興味を持つ猫がいるご家庭は、誤食しないようにしてください。
キッチンに自由に猫が出入りしていると、床に落ちた香辛料が体に付着しグルーミングで舐め取ってしまう場合もあります。
使用後は面倒ですが、毎回拭いて残らないように気をつけてあげてください。
メンソール系の匂い
ツンと鼻につく刺激が特徴のメンソールは、湿布や痒み止めなど身近にある商品によく使われています。
やはりこの刺激臭は猫にとって不快を感じるものとして知られており、使用する時は短時間で猫の近くでは使わないようにしましょう。
他にも制汗剤や清涼感が人気のあるシャンプーなどにも使われていますので、飼い主様=嫌な匂いと認識されないように猫ファーストで配慮してあげてください。
柑橘系の匂い
甘味の中にも爽やかな酸味が美味しいオレンジやグレープフルーツなどの柑橘系は、猫にとって腐敗を連想させるようです。
匂いで食べられるものかどうか判断していることは先述の通りですが、柑橘系は本能から肉や魚が腐った匂いとして捉え、近寄ることも少ないはずです。
他にも柑橘類の皮に含まれるリモネンという成分は、もし猫の体に入った場合に代謝して分解することができず中毒症状を引き起こします。
最悪、命にも関わりますので絶対に与えないでください。
まとめ
猫の嗅覚はとても発達していて、挨拶や食欲に縄張りなど様々な働きがあることがわかりました。
人間と良い距離感で共存していくために、嫌いな匂いや健康に関する匂いには十分注意してあげましょう。
ご自宅にいる猫やお外で暮らしている猫の様子をじっくり観察してみるのも楽しいでしょう。
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