猫のお腹のたるみは肥満ではない?ルーズスキンの役割と肥満・病気との見分け方
2021/11/17
目次
猫のルーズスキンとは?
猫のお腹にあるプニプニとしたたるみを「ルーズスキン」と言います。
歩いている時やゴロンと寝ている時によくわかるもので、肥満?病気?とも思いがちですが、体型や病気・年齢は関係なくあらゆる猫に見られるものです。
野良猫やトラ・ライオン・ヒョウ・チーターなどの野生のネコ科動物にも見られます。
「ルーズスキン」は和製英語で、本来の英語では原始的な袋という意味の言葉です。
ですから、原始の姿に近いベンガルやアメリカンショートヘアなどの種類はルーズスキンがより発達していると言われています。
しかし、実際に猫の特徴であるルーズスキンと肥満とを間違えてしまうのも問題です。
脂肪が多すぎることは健康的によくありません。
ここではルーズスキンの役目やたるんでいる理由、肥満や病気との見分け方などについて説明します。
ルーズスキンの役目とは?
猫のルーズスキンはどんな役割を持つのでしょうか。
いくつかの説がありますが、ネコ科の動物が自然に持つもので生き抜くためには必要であることは確かです。
子猫から大人になる頃にできるもので、年齢や性別も関係なくあらわれます。
次に考えられている理由を3つ紹介します。
①腹部を守るため
猫の腹部には心臓を始め生きるために大切な臓器が詰まっています。
それを守るためのものということが一つ目の理由です。
腹部は弱点でもあり、寝る時にお腹を中心に丸まって寝ているのは本能的に弱点を守っているからです。
猫同士のけんかや外敵に襲われた時、牙や爪が内蔵に届いてしまうと致命傷を負います。
ルーズスキンというたるみがあることで、内臓の損傷を防ぐことができるのです。
野良猫や野生で暮らすトラやライオン等のネコ科動物はテリトリー争いでのけんかや攻撃が多いため、自分の身を守る大切な機能としてルーズスキンが発達したのでしょう。
そしてそれが、ペットとして飼われる現代の猫にもつながっているわけです。
②動きをよくするため
猫はそもそも狩りをして獲物を捕まえる動物です。
瞬発力や柔軟性が高く、運動能力が発達しています。
全身が柔らかく、とても早く動けることは日常的によくわかる猫の特徴ですね。
そしてルーズスキンがあることで、猫がアクロバティックな行動をする時に皮膚が引っ張られないような構造になっているのです。
激しい動きをするためのゆとりの部分であり、さらにお腹にたるみがあることで、足の可動域を広くする役割もあります。
これもまた、チーターなどの動物の狩りを思い浮かべてもらうとわかりやすいことです。
あれほど早く、俊敏に動けないと自然界で生き抜くことができません。
そしてその体を作っていくためにルーズスキンが大切な役目を果たしているのです。
③たくさん食べるため
トラやライオンなどの野生動物は狩りが成功しないと生き抜くことができません。
毎日必ずご飯がもらえるペットの猫とは違います。
だから狩りをして得た獲物をたくさん食べておく必要があり、いわゆる「食いだめ」をしておくわけです。
つまり、たくさん食べるためにお腹の皮膚に余裕ができ、ルーズスキンができたという説です。
これは野良猫として生きる猫にも同じことが言えます。
食べられる時にたくさん食べておくことは命を守ることにつながる大切な行動です。
野生として生きていた祖先の姿を思うと、ルーズスキンは絶対に必要なものであり、大切な役目であることが納得できます。
ペットの猫もルーズスキンがあり、中には食いだめをする猫もいます。
たくさん食べて満足して寝ている姿を見ているとほっこりします。
現代のペットの場合、この理由も微笑ましいものです。
ルーズスキンができやすい猫の種類
ルーズスキンは猫の成長とともに徐々にできるものです。
年令や性別・品種に関係なく見られますが、なかでもルーズスキンになりやすい品種があります。
野生に近い品種であるベンガル・アメリカンショートヘア・ピクシーボブ・エジプシャンマウなどの種類です。
特にベンガルはベンガルヤマネコの血を引いていて、より原始的な猫の姿に近いと言われています。
これらの猫は骨格ががっしりとして、運動能力が高いです。
瞬発能力や柔軟性がある点がルーズスキンと関係しているのでしょう。
キャットショーで高評価を受ける猫はルーズスキンの大きさも重要視されており、かなり立派なルーズスキンが見られました。
肥満・病気との見分け方
猫のルーズスキンには大切な役目があり、どんな猫にも発達するものです。
肥満や病気ではありませんが、太リすぎの猫もいて違いがわかりにくい場合もあります。
健康に関係することなので見分け方を知っておくことが大切です。
お腹のチェックをしてみましょう。
①見た目
まずは、猫の体全体やお腹のプニプニしている部分をよく観察してみましょう。
くびれがなかったり、お腹周りに浮き輪のような脂肪が付いて丸く見えたりするような場合は、ルーズスキンではなく肥満の可能性が大きいです。
肥満チェックには肋骨を触って確認するのが良い方法なので、肋骨が感じられない場合は肥満だと思われます。
またメスの場合は出産後や避妊手術の影響でお腹がたるむことがあります。
肥満だった猫がダイエットをしたあとで皮膚がたるんで見えることもあります。
たるんで見える時期や理由は様々です。
一方、全身を見て肥満体型ではなく、お腹にはりがないようであればルーズスキンだと判断できるでしょう。
体重も多く、少し心配な方は健康診断を兼ねて動物病院で確認してみるのも良い方法ですね。
②触り心地
次に猫が横向きに寝ている時などにお腹を触ってみましょう。
皮だけの場合はルーズスキン、脂肪もつかめる場合は肥満の可能性があります。
触った感覚が分厚い皮だけで、柔らかく心地よいものならルーズスキンと考えられます。
一方、固く張りが感じられ、しこりがあるようならば病気の可能性もあります。
猫が触られるのを嫌がった場合も要注意です。
感染症や腫瘍などで腹水が溜まっているとお腹はパンパンに膨らみます。
また腸や泌尿器にトラブルがあると排泄がうまくいかずお腹が膨らむことがあります。
おしっこの回数が少ない、食欲がないなど何か気になる兆候があれば、獣医の診察を受けることをおすすめします。
まとめ
猫のお腹にあるルーズスキンについてその役目と肥満・病気との見分け方などを説明しました。
野生の習性が関係していることは大変興味深く、猫らしい特徴だと感じました。
腹部を守る役目や高い運動能力を保つためにも必要なものだったのですね。
また、ルーズスキンと肥満は見分けにくいものですが、現在はやや肥満傾向の猫が多いようです。
肥満や病気と見分けるためにも普段からよく愛猫を観察し、スキンシップをとることで体のチェックをしてあげてください。
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