【徹底解説!】補助犬とは?介助犬・聴導犬・補助犬の違いを解説
2022/03/24
目次
補助犬の種類と違い:盲導犬
体に不自由がある方が、安全に安心して毎日の生活を送るお手伝いをする補助犬として盲導犬の存在は多くの方がご存知のはずです。
でも、詳しいお仕事や内容までわからない方は多いのではないでしょうか。
補助犬として働く犬の種類と内容をご紹介していきます。
主な仕事と役割
街中には電柱や信号・階段など様々なものがあり、目が見えない方や見えにくい方にとって危険となります。
盲導犬は、階段や段差の他にも角があれば教えてくれたり障害物を避けたりして、使用者である目の不自由な方を行きたい時に行きたい場所へ安全に歩けるようにサポートします。
危険な箇所や注意が必要なところを教えてくれる基本的な動作によって、盲導犬の歩行は成り立っています。
誕生の歴史
盲導犬誕生は、紀元1世紀頃のイタリアのポンペイではないかと推測されています。
村にある壁に、目の不自由な方が犬と一緒に歩いている様子が描かれているそうです。
また、17世紀頃の書籍の一部に犬の首に細い棒を付けて盲導犬として訓練を行なっている様子も描かれています。
犬の従順さと賢さからペット以上の存在として人と共に生きてきたことがわかります。
その後、第一次世界大戦後の1916年に、組織的な育成と訓練がドイツで始まりました。
日本に盲導犬の存在が広く紹介されたのは、それから約20年以上も後の1938年になります。
向いている犬種
人と一緒に歩くことが前提ですので、大型犬に絞られます。
穏やかで陽気な性格が訓練に適していることや人の指示に従順であることを考え、日本ではラブラドール・レトリバーが多く活躍しています。
大型犬であるために、すれ違う人に威圧感を与えず親しみやすい理由でイエローのカラーが多いようです。
また、短毛種であることでお手入れのしやすさいといったメリットも関係しているでしょう。
日本では数少ないですが、ゴールデン・レトリバーもラブラドールと同じく好奇心に富んだ明るい性格なので、海外では盲導犬として使用されています。
他にも知名度は低いのですが、両親または片方の親犬が盲導犬として優秀と認められた場合に限り、犬種の違うラブラドールとゴールデンを掛け合わせたF1レトリバーも活躍しています。
見た目はラブラドールそっくりですが、F1レトリバーは優秀な遺伝子を持つエリート犬なんです。
補助犬の種類と違い:介助犬
介助犬とは、体の不自由な方が毎日の生活で困ったことや一人では難しいことをコマンドを使って覚えさせ、サポートする犬のことです。
外で介助犬を見かけることは少ないかもしれません。
しかし、日々の何気ない行動を介助犬がお手伝いすることで、使用者である体の不自由な方は安心して過ごせるでしょう。
ここからは、介助犬の詳しいお仕事内容をご紹介していきます。
主な仕事と役割
車椅子を使用することの多い使用者が何か物を落としたり手が届かない物があったりした場合に、口でモノを咥えることや前足で押すことを基本として介助犬が様々なサポートをしてくれます。
拾う・取るだけではなく渡してくれるように訓練されており、家の中だけではなく外出時の安心感は計り知れないものがあります。
また、取っ手にタオルや紐を付けて介助犬が咥えて引っ張ることで、ドアや窓の開閉も安全に行います。
他にも、寝返りが出来ない使用者の身体的負担を減らすために、指示によって体を動かし体位変換を促してくれます。
寝た状態からの起き上がりや、座った状態からの立ち上がり補助など多くの仕事で使用者の生活を支えてくれています。
誕生の歴史
介助犬の始まりは諸説あり、はっきりとした誕生はわかっていません。
その一つとしてご紹介するのは、1970年代のアメリカで先天的に体の自由がうまくきかない子どものために、父親が飼っていたペットの犬を訓練したことが始まりではないかといわれています。
また、日本で介助犬が誕生したのは1990年代前半となります。
後天的な原因によって体が不自由になった女性が、自らアメリカの地で介助犬に深く携わり、必要性と有益性を感じたことがきっかけとなりました。
アメリカで出会った犬を日本へ連れて帰り、日本の介助犬第一号となったのです。
まだまだ歴史が浅いため、頭数も少ない現状が心配されます。
向いている犬種
人との共同作業に喜びを感じ、柔らかいイメージを持つ大型犬が向いているといわれています。
中でも盲導犬と同じくラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバーに、ラブラドールとゴールデンのMIXであるF1レトリバーが挙げられます。
また、クルクルの巻き毛が愛らしくレトリーブ(回収)する能力に長けているスタンダード・プードルも活躍しています。
補助犬の種類と違い:聴導犬
耳の不自由な方に代わって、周囲の危険や生活に必要な音を聞き分けて反応してくれる聴導犬は、シーンによって違う音を聞き分け確実に使用者へ合図を送ってくれます。
聴導犬は家の中を中心に、公共の施設でもその存在を大きく発揮してくれます。
ここからは、聴導犬の仕事内容を詳しくご説明していきます。
主な仕事と役割
毎日の生活に欠かせない、朝の目覚まし時計のアラーム音やお湯を沸かす・電子レンジで温める時間をセットする料理タイマーの音を教えてくれます。
また、使用者は文章をコミュニケーションツールとしていますのでファックスの送受信音や、火災報知器の音も反応するように訓練されています。
それによって、スムーズな情報共有や身の安全を確保することができます。
玄関チャイムや小さいお子様がいる使用者のご家庭では、赤ちゃんの泣き声にもしっかり反応し音の発生源まで誘導してくれます。
家の外で使用者に知らせる音として、郵便局や病院の受け付け待ちで順番が来たら鳴らしてくれるように専用のベルを受け付けで渡しておきます。
専用のベル音に反応した犬が順番が来たことを教えてくれます。
誕生の歴史
音を知らせてくれる聴導犬が生まれたのは、1975年のアメリカといわれています。
ラジオ番組への1本の投稿がありました。
「家の中で鳴る音に反応する犬を訓練してほしい」
このことがきっかけとなって、ヒアリングドッグが誕生したそうです。
日本の獣医師会がアメリカとの交流でその存在を知り、1981年に聴導犬委員会を発足させました。
向いている犬種
聴導犬の育成や訓練は、様々な団体や協会が取り組んでおりそれぞれ決められた規約に従って候補犬の選定を行なっています。
盲導犬や介助犬と違い、力や大きい体である必要はありません。
元々ペットとして暮らしていた犬や保護犬から適正のある犬を訓練していきますので、音に反応しやすく人間が大好きであればどの犬にも可能性はあるでしょう。
ですが、聴導犬は補助犬ですので特殊な訓練や試験をパスしなければいけません。
補助犬の共通点
ここまで補助犬といわれる働く犬の仕事内容やルーツをご紹介してきました。
盲導犬・介助犬・聴導犬それぞれに共通していることがあります。
ついペットの感覚で声を掛けたくなりますが、「仕事中」であることを忘れずに見守ってください。
体に障害を持つ人のサポートをする
体に不自由がある方の目や耳、体の一部となって、サポートしてくれる存在のことを補助犬と呼んでいます。
明るく遊び好きで人との信頼関係が構築された犬が向いており、それぞれに必要な適正をより強く発揮できるように訓練を一定期間行っていきます。
盲導犬・介助犬・聴導犬の総称として使用されています。
ハーネスや表示のある胴着を着る
誰が見てもその犬がどんな役割を持っているのか一目瞭然にするために、盲導犬は白か黄色のハーネスの装着を、介助犬と聴導犬はそれぞれの役割を書いた胴着を着用しています。
また、このハーネスや胴着には、公衆衛生上の安全を証明するための認定番号や補助犬の種類が記載されています。
使用者と一緒にいる補助犬はペットと違い、サポートする大切な役割を持っていますので、この証明があるハーネスや胴着を着用している犬にむやみに声を掛けたりオヤツをあげたりして気を散らさない配慮が必要となります。
公共施設などでの同伴も可能
「身体障害者補助犬法」に基づき、公共施設をはじめ各種交通機関やスーパー・ホテルなどの施設は補助犬同伴を受け入れることが義務とされています。
騒いだり吠えたりして迷惑をかけるような行動をしないよう「身体障害者補助犬法」において適切な管理と行動を義務付けてしっかりと訓練されており、
衛生面においても使用者に義務付けられた管理と適切な行動義務によって、清潔な体の維持とワクチン接種を行っています。
ですが、まだまだ理解されていない場合が多く、特に飲食を伴う店は他のお客様への配慮として入店を断る対応が多く見受けられます。
まとめ
補助犬についてご説明をしてきましたが、犬の能力や存在は遥か昔から国境を超えて多くの人に理解されてきたことがわかりました。
人に優しく寄り添ってくれる犬は、ペットとしての存在はもちろん人のサポートをしてくれる大切な家族です。
まだまだ補助犬として活躍する犬は少なく、目にすることもあまりないかもしれません。
もっと頭数が増えて、毎日を明るく楽しく生活される方が増えると嬉しいですね。
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