【犬の視力事情】犬の見ている世界とは?視力の測り方・色の識別能力など

2022/02/19

目次

犬の視力はどれくらい?

犬が飼い主をじっと見つめてくる瞳は愛らしいものです。

アイコンタクトで意思を伝え合うのはとても幸せな気持ちになりますが、犬の視力はいったいどれくらいなのでしょう。

犬の視力を人間の視力で表すと、0.1~0.2 程度です。

そのため、2~3m先の物体はあまりクリアに見えていないようです。

はっきりと物が見えるのは33~50cmくらいだとも言われています。

かなりの近視ということですね。

その反面、動体視力はとても優れているようです。

猫が走り去る姿を見て犬が追いかけようとするのがその一例です。

また犬種によっても視力に違いがあり、シェパードやロットワイラーは近視が多く、ボルゾイやアフガンハウンドなどの鼻が長い犬は水平方向によく見える部位があるそうです。

こちらの記事では犬の視力についてまとめてみました。

犬と人の視力・見え方には違いがある

視力としては近視と言えますが、犬の視力は人間よりも優れている点があります。

物をはっきりと目に映す力は人間よりも弱い反面、優れた動体視力と、少ない光で物をとらえる力に犬は長けています。

犬の祖先をたどると、うす暗い中で狩りをして生きてきたのでこういう物の見え方が適していたのだと考えられます。

そして視覚以外にも優れた嗅覚や聴覚を使って、情報を集められるようになっています。

犬の視力の測り方は?

犬の視力は一体どのように測っているのでしょうか?

人間のように視力検査はできませんから正確に測定することは不可能ですが、大まかに見えているのかどうかを検査する方法があります。

視力が気になっている飼い主さんは家で試してみてください。

瞳孔反射テスト

眼は光を感じて神経から物を見ます。

視力を失うと瞳孔が開いたままになってしまうため、光を入れると瞳孔が縮むかどうかを見るテストです。

部屋を真っ暗闇にした後に、犬の目が暗さに慣れるまで数分間待ちます。

その後、部屋を明るくして、犬の瞳孔が小さく収縮すれば正常な証です。

暗い場所を怖がる、夜になると物にぶつかるなどの様子があれば視力低下の初期症状かもしれません。

若い犬でも病気によりこのような症状が出る時があるので、気になる人は病院で詳しい検査を受けてみましょう。

綿球落下試験

丸めた脱脂綿やティッシュなどを用意します。

その脱脂綿・ティッシュを犬の真上から落とします。

それに合わせて目や顔が動けば正常な証です。

犬が壁によくぶつかるとか物につまずくといったことがあれば、このような方法で確認できます。

元々動体視力が優れているはずの犬が動くものを目で追えないということは、視力がかなり落ちていることになります。

早めに気づくことで症状を和らげることができたり、周囲を整えて怪我のないように配慮できるので、チェックしてあげることは大切です。

犬の色の識別能力はどうなっている?

犬と人間では目の構造が少し違うため、目から見た世界には違いがあります。

まず色を識別する能力に大きな差があります。

「犬は色盲」と言われていましたが、現在は完全に白と黒のモノトーンの世界ではないことがわかってきました。

でも、犬の網膜が認識できる色は人間ほど多くはありません。

しかし、犬は視覚による情報にはあまり頼っていません。

人間は色で判断することが多く、情報の約80%を視覚に頼っていますが、犬は約20%くらいだと言われています。

犬が見ている色の世界を紹介します。

犬が見ている色の世界

人間の網膜には錐状体(すいじょうたい)と呼ばれる色を感じる細胞があるので、色々な色を識別できます。

しかし、犬の網膜には錐状体がほとんどないのです。

犬の数少ない錐状体は黄色と青、その中間色にしか反応しません。

黄色・オレンジ・緑はくすんだ黄色に、青や紫は青っぽい色として見えています。

しかもちょっとぼんやりと靄がかかったように見えます。

つまり、赤や緑をはっきりと認識することができないのです。

特に赤は暗いグレーにしか見えないそうです。

完全に白と黒しか見えないのではありませんが、なんとなく黄色と青のぼんやりとした色の世界で生きているのです。

犬が好きな食べ物もその色はあまり関係なく、首輪やカラーを色で選んだりするのも飼い主だけの楽しみだということです。

犬と人間が見る色の世界は違う?

人間と犬では色を識別する能力に大きな差があります。

そのため、全く違った色の世界に生きていると言えるでしょう。

例えば信号機の赤は犬にはわかりませんが、空の青や黄色の花は私達と同じように見えているかもしれません。

また赤いボールを芝生の公園で投げて遊んでいても見失って探し出せないことがあるかもしれません。

赤と緑は認識することが難しいからです。

逆に黄色と青は認識できるので、ボールの色を変えると探しやすいでしょう。

こんなふうに犬と人間の見える色の違いを知ると工夫ができます。

暗闇の中

光の少ない暗がりの中で、人間は対象物を認識することが難しいです。

一方、犬は同じ暗がりでも、ほんの少しの光で対象物を見分けることが可能です。

犬は本来夜行性の動物なので、薄暗い中でも獲物を捕らえることができました。

網膜の裏に光を増幅できるタペタム層を持っていて、暗闇でも物が見えるのです。

人間が必要な光の約1/4の量で物が見えると言われています。

暗い場所で犬の写真を取ると目が光って写るのはこのタペタム層にフラッシュが反射しているからです。

ドッグフード

犬の目からドッグフードを見ても、あまり美味しそうな肉色ではありません。

ドッグフードの色は犬のためではなく、購入者である飼い主に「美味しそう」と思わせることを目的としているのです。

人間から見た美味しそうな肉の色は赤ですが、先程述べたように犬にとっては赤は暗いグレーにしか見えません。

そして犬は視覚から美味しそうとは思わないようです。

犬にとっては嗅覚が一番優先されるので、食べ物の匂いにつられて食欲が出ます。

フードに限らず、おやつなども着色料は犬には関係ないことがわかります。

花畑

花畑といえば、赤や黄色など色とりどりの華やかな花と緑が鮮やかなコントラストです。

人間の目には鮮やかに写る花ですが、同じ景色を犬の目から見たら、ほとんどが単色で塗りつぶされたような、あまり綺麗さを感じないような景色になります。

きれいな花畑で犬の写真を撮ったり、お散歩したりするのは飼い主さんには楽しいですが、犬の目にはきれいな景色には写っていないというのは少し残念になりますね。

まとめ

犬の視力についてはいろいろな研究が進んでいます。

例えば人間が見られない紫外線を犬は見ることができます。

また両目の視野は人間よりも広く220~270度もあり、広い範囲を一度に見ることができます。

視力はあまり良くない犬ですが、匂いや声などの情報で判断をし、私達とは違う色の世界で生きていること、さまざまな能力を持っていることがわかります。

犬の視力について知ることで犬を理解できる手助けになっていたらうれしいです。

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