犬の腎臓疾患とは?その原因と対処法、おすすめ療法食3選を紹介
2020/04/02
目次
犬の腎臓疾患とは?
腎臓疾患とは有名な所で腎臓病というものであり、その名の通り腎臓の機能が悪くなる病気で、犬の死亡原因第3位というデータがあるほど、大変恐ろしい疾患です。
腎臓の基本的な機能をまかなう「ネフロン」は、大きな予備能力を持っていて、傷害を受けたネフロンを受けていない部分である程度補う事ができるのですが、症状や血液検査の結果などで飼い主が腎臓機能低下に気づいた時にはかなり症状が進行している可能性もあり、高齢犬になると長年のダメージの積み重ねでさらにリスクが高まると言われています。
腎臓が一度傷害を受けると大半は再生しない臓器ですので、放っておくとゆっくりではなく、一気に振興してしまいます。腎臓機能の75%以上を失うと「腎不全」になってしまい、余分な水分が溜まって浮腫みが出たり、吐き気や食欲不振、だるざ、高血圧、貧血、骨がもろくなるなどの症状が出ます。腎不全が更に進行すると、身体の中に老廃物が溜まり尿毒症など死に至る重篤な症状を引き起こしてしまうのです。
犬の腎臓疾患にかかっているかも?その際の見分け方と原因
先ほどもご紹介しましたが、腎臓疾患は進行が早いので、症状が顕著に出始めた時は手遅れという事が多いものです。ですので、初期の状態で気づいてあげる事が一番なのですが、どんな事に注意して見てあげればいいのかわからないし、見分け方がわからないというのが本音ではないでしょうか。ここでは、急性腎臓病と慢性腎臓病にスポットを当てて、見分け方と原因を詳しくご紹介していきます。
①急性腎臓病
急性腎臓病は、救急管理が必要な病気で、急激な腎機能の定価により死に至る事もありますが、適切な治療を行う事により腎機能が回復する可能性もあります。
・嘔吐
・意識の低下
・呼吸が荒い
・排尿がない
早ければ数時間ほどで、嘔吐や排尿がないなどの症状を起こし、急激に体調が悪化します。適切な治療ができない場合、命を落としてしまう怖い病気です。
・急性の腎炎、感染、腎毒性がある物の摂取などで腎臓が急激に障害を受ける
・結石や腫瘍などによる尿道閉塞で、尿が排泄できない
②慢性腎臓病
慢性腎臓病は、腎臓が数か月前から数年かけてゆっくり機能低下を起こしていく病気で、初期のころはほとんど無症状のため、見つけにくいのが特徴です。しかし、一度悪くなってしまった腎臓は残念ながら元に戻る事はありません。
慢性腎臓病の症状
・体重減少
・食欲低下
・水を沢山飲む
・色の薄い尿を沢山する
・活動的でなくなる
・嘔吐が多くなる
・口臭が強くなる
・便秘
・被毛にツヤがなくなる
末期になってしまうと、老廃物を全く排出できなくなりますので、尿毒症を起こし、痙攣などの症状が見られるようになります。原因としては、慢性的な腎臓の炎症が原因となりますので、高齢になるほど発生率は高くなります。
犬の慢性腎臓疾患の症状とステージ
腎臓疾患のうち、もっとも一般的な病態が慢性腎臓病です。慢性腎臓病のやっかいな点は、腎臓の機能には余裕があるため、ある程度ダメージを受けても目に見える症状がほとんどありません。
5年以上にわたって、ゆっくり進行するケースが多いので、限界を超えると一気に進行してしまうという怖い疾患です。腎臓機能の異常をとらえるために、動物病院では色々な検査がありますが、基本的には血液検査によって、数値を見ていく事になります。慢性腎臓病がどの程度進行しているかは、血清クレアチニン濃度の数値によってステージ分類していますので、ここでは、ステージ別に症状をご紹介していきます。
ステージ1
ステージ1での血清クレアチニン濃度は1.4未満で、残存している腎機能は100%~33%となっており、病態としては、尿濃縮機能の低下・タンパク尿などで臨床症状はありません。
血液検査では顕著な異常が見られず、唯一の症状としては、水を飲む量と尿量の増加くらいです。一般的には、暑かったから、興奮したからなどと勘違いをしてしまうステージになりますので、見逃してしまう事がほとんどでしょう。しかし、既に尿濃縮機能と尿比重は低下していますので、先ほどの症状と尿の色が薄くなっているようであれば、早めに受診して下さい。
ステージ2
ステージ2での血清クレアチニン濃度は1.4~2.0となっており、残存している腎機能は33%~25%です。
病態としては、軽度の高窒素血症を発症しており、臨床症状としてはほとんどないのですが、軽度の多飲多尿が見られる場合があります。
血液検査ではわずかな異常が見られるようになりますが、症状としては、ステージ1と同じように水を沢山飲み、尿を沢山するのみで本人は元気ですので、健康診断で偶然発見される以外はやはり見逃してしまう事が多いようです。
ステージ3
ステージ3となると、血清クレアチニン濃度は2.1~5.0と明らかに異常値とわかるでしょう。残存している腎機能は25%~10%と著しく低下し、病態としては中程度の高窒素血症、全身性の臨床症状(胃腸障害・貧血)などが見られるようになってきます。ここまで進行してしまうと、より深刻な症状が現れ、糸球体で血液をろ過できる量が減るため、老廃物が尿として排泄されずに体内に溜まってしまい、元気や食欲がなくなったり、下痢や嘔吐、貧血などが見られるようになります。
気が付くのはこのステージが多く、この時点で動物病院に連れて行っても既に進行している状態ですので、完治するのは難しいと言えるでしょう。
ステージ4
ステージ4の血清クレアチニン濃度は5.0以上で、残存している腎機能は10%以下となっています。
病態としては、重度の高窒素血症、全身性の臨床症状や尿毒症などがあります。
ステージ4は生命の維持が難しい重度段階になっており、人であれば毎日の透析をするレベルとなりますが、犬の場合は透析を行う事ができませんので、食欲が落ち嘔吐を続け、著しく痩せてしまいます。老廃物が自力で排泄できなくなりますので尿毒症を発症している状態です。正直、手の施しようがないステージになってしまいます。
犬の腎臓疾患の種類と原因
犬の腎臓疾患には種類があり、原因発生部位による分類と経過による分類に分けられています。原因発生部位には腎前性(腎臓の前に原因があるタイプ)・腎性(腎臓そのものに原因があるタイプ)・腎後性(腎臓の後の尿路に原因があるタイプ)に分けられ、経過による分類には急性腎臓病と慢性腎臓病に分けられます。ここでは、それぞれの特徴と原因を詳しくご紹介していきます。
①原因発生部位による分類
血液循環に異常が起き、腎臓に送られる血液量が低下する事で発生します。血液を送り出すポンプの役割をする心臓の疾患が主な原因で、熱中症をおこす事で、一時的に心機能が低下して起こる事も。
・腎性(腎臓そのものに原因があるタイプ)
糸球体腎炎・腎盂腎炎などによって腎臓のネフロン細胞そのものが傷害を受ける事で起きます。毒性の摂取や、感染症・寄生虫・外傷・腫瘍・先天的な異常が原因です。
・腎後性(腎臓の後の尿路に原因があるタイプ
尿は作ったものの、スムーズに排泄できないため障害を起こし発症します。排泄経路である膀胱・尿道の結石など尿路結石症が代表的な原因となっており、腎臓に異常があるわけではないので、適切な処置により回復する可能性はあります。
②経過による分類
原因が生じてから早くて6時間、遅くても1週間以内に発症し、急激に症状が悪化しますが、一時的に低下した機能は、回復する事ができます。腎前性・腎性・腎後性の可能性もありますが、尿路結石症などの腎後性が最も多いでしょう。その他には、鉛などの貴金属やヒ素・毒キノコ・人間用の薬の誤飲など毒性の摂取の可能性も。腎臓は腫れて大きくなってしまいます。
・慢性腎臓病
ゆっくり進行するので、5年以上経過してからはっきりした症状が現れる事が多く、腎臓そのものに原因があり、炎症が徐々に広がって慢性的にダメージを受けます。その他にも、歯石に繁殖する細菌の出す毒素が心臓に悪影響を及ぼすと同時に腎炎の原因にも。一度ダメージを受けたネフロンは、二度と回復する事がなく、腎臓は硬く委縮してしまいます。
腎臓疾患を少しでも悪化させないためには?
腎臓疾患になってしまったら少しでも悪化させない事が大切です。中でも慢性腎臓病は進行する病気で、一度悪くなってしまった腎機能は元に戻る事はありませんので、進行をいかに遅らせるかが治療のカギになるのです。
初期の慢性腎臓病は、食事療法と水分補給が最も重要な治療法になります。水分補給の時の単に水を与えるのではなく、常に新鮮な飲み水を飲める環境を整えてあげる事が大切で、水分補給の方法としては経口補液や輸液療法が効果的と言えるでしょう。
①毎日の食事面を気をつける
慢性腎不全において、食事療法は最も重要な治療方法なのですが、腎機能が低下し、身体から排泄できなくなったリンは、腎臓にさらにダメージを与えますので、まずはリンを制限した食事を与えると生存期間が長くなるという事が証明されています。また、尿毒症の症状や腎臓へ負担を減らすためには、たんぱく質の制限が重要になってきます。
食欲不振となりエネルギーが不足すると、身体は筋肉などのたんぱく質からエネルギーを作ろうとするため、尿毒症が進行してしまうので、エネルギー不足にならないよう配慮しましょう。
EPA・DHA・抗酸化成分には、残っている腎臓を保護する作用が期待されていますし、便秘がちになってしまうので、食物繊維が有効と言われています。尿毒症が進行してしまうと、口腔粘膜や胃粘膜が荒れて、口内炎や胃炎になりやすいため、痛みや吐き気から食欲が落ちてしまうので、少しでも食べてもらうためには工夫が必要です。
ドライフードであれば少し温めてあげると、匂いが立ち食欲をそそる事もありますし、愛犬が好きなものをフードにトッピングしてあげたり、流動食を利用するなどをしてあげるなどをしてみて下さい。それでも食べてくれない場合は、病院で食欲増進剤を処方してもらう方法もあります。
②水分補給をこまめにする
水分補給をこまめに行い、体液を増加させ尿量を増やす事は、血液中の老廃物や毒素を体外に排出させる事になります。他には、腎機能が低下してオシッコを濃縮する事ができなくなると、必要な水分を体内にとどめておく事が難しくなり、尿毒症を悪化させる原因でもある脱水状態に陥りやすいのです。
ですので、症状を悪化させないためには、食事療法と同等に水分補給も重要な治療法となります。水分補給には、進行状態によって、経口補液や皮下輸液・静脈輸液などの方法があります。
・経口補液(水をたくさん飲ませる)
嘔吐がなければ、自分の口から水を沢山飲めるように工夫してあげましょう。与える水は水道水で問題ないのですが、血液検査の結果によっては電解質溶液などを利用するのもポイント。電解質溶液は動物病院で入手する事ができます。
水分摂取量を増やすためには、次のような事を試してみて下さい。
・好きなタイプの水を用意してあげる
新鮮な水が好きな子・蛇口から出る水が好きな子・温かい水が好きな子など飲み水の好みは様々です。日頃からどのような水を好んで飲んでいるのか観察しておきましょう。また、水の置き場所も重要になってきますので、色々な場所に置いて試してみる事もポイントになります。そして、一か所に置くのではなく数か所に置いておく事で飲む量が増えるという事もあります。それでも飲んでくれない場合は、キチンや牛などを煮出し、スープにしてみてもいいかもしれませんね。
・フードを変える
現在ドライフードを与えている場合は、水分量が多いウェットフードに変更してあげたり、固形が難しい場合は流動食を利用するのもいいでしょう。急な食事の変更は愛犬にとってストレスになってしまう可能性もありますので、日頃からローテーションで与えるという方法がいいかもしれません。
どれだけ工夫しても飲んでくれない場合は、シリンジやスポイトで飲ませる方法もありますので、主治医の先生と相談する事をおススメします。
・皮下輸液
皮下輸液という方法は、背中の皮下に針を刺し、輸液剤を投与する方法です。
比較的短時間で終了しますので、通院で可能なのですが、毎日通院するのが難しい場合は、やり方を先生に教えてもらい自宅で行う事もできます。
皮膚の下に、輸液剤を一度投与しますので、投与した部位が一時的に腫れますが、時間と共に吸収されますので心配する必要がありません。入院や通院がストレスとなってしまう愛犬であれば、自宅でもできる皮下輸液が効果的でしょう。しかし、重度の脱水状態や心不全になってしまっている場合は、投与した輸液剤がうまく吸収できませんので、静脈輸液の方が適していると言えます。
・静脈輸液
静脈輸液は、静脈の血管に針を刺して固定し、輸液剤を直接静脈に投与する方法です。簡単にいうと点滴の事になります。輸液剤は少しずつしか投与できませんので、必要量を投与するには時間がかかってしまうのがデメリットなのですが、状態に合わせて必要量を調整しながら投与できますので、とても効果的と言えるでしょう。
嘔吐が見られる場合は、口からの水分補給が難しいので、皮下輸液または静脈輸液を行う事になりますが、どちらの方法がいいかはその時の状態によりますし、飼い主さんの都合や愛犬の性格なども考えた上で、愛犬に負担がかからない方法を先生と相談しながら進めていくといいでしょう。
③投薬する
慢性腎臓病で処方される薬は腎臓自体を治す薬ではないのですが、尿毒症の進行を遅らせたりなど辛い症状を緩和させるためのものですので、用法用量を守りしっかり服用させて下さい。
しかし、吐き気がある場合や口内炎がある場合は、中々飲んでくれませんので、飲みやすい錠型で処方してもらうようにしましょう。
どうしても口から服用する事が難しい時は、流動食や輸液剤に混ぜて飲ませたり、注射で行ったりする事もできます。こちらも無理やり飲ませると、ストレスになってしまう可能性が出てきますが、そんな時は先生にどのように飲ませればいいのか相談してみましょう。
④健康状態の観察と病院の関わり方
慢性腎臓病は、適切な治療を行っていても残念ながら進行が止まるわけではありません。病院で定期的に進行具合を診てもらい、現在行っている治療が適切かどうかを判断してもらうようにして下さい。どのくらいの間隔で診察すればいいのかは、状態によりますので、先生の指示に従いましょう。
動物病院だけにお任せするのではなく、日々の状態を常に見ているのは飼い主さんです。日頃から愛犬の状態をよく観察し、診察の際にしっかり先生に伝えられるようにしておきましょう。
注意して観察しておいてもらいたいのは以下になります。
・食欲や元気に変化はないか
・体重が減っていないか
・水分補給の量に変化はないか
・嘔吐や気持ち悪そうな様子はないか
・おしっこの回数や量・色に問題はないか
・脱水症状を起こしていないか
・貧血を起こしていないか
・痙攣や意識障害はないか
など。
病状が進行してくると、病院が休診している時に症状が悪化するという事が度々起こりますが、そのような時も慌てず冷静に対処できるよう事前に先生にどうすればいいのか対処法を聞いておく事と、救急病院を探しておくなど準備をしておくと安心でしょう。
慢性腎臓病は治る病気ではないですが、進行を遅らせ辛い症状を緩和する事はできます。その時の対処法としては愛犬の性格や状態によって違いますので、先生とよくコミュニケーションを取り、どのような方法が愛犬には最適なのかを相談する事が重要となってくるでしょう。
犬の腎臓疾患におすすめ療法食3選
腎臓疾患には食事療法と水分補給が最も重要な治療法だとわかりましたね。しかし、どんな物をあげればいいのかわからないという事なのですが、ここでは、腎臓疾患に良いと言われている療法食を今回は3種類ご紹介したいと思います。沢山あって悩んでいる方は是非今からご紹介する療法食を試してみて下さい。
・フォルツァディエチ(FORZA10) 療法食 リナールアクティブ 800g
腎臓の健康維持に配慮した食事療法食です!
腎臓病・心不全に対応した療法食で、たんぱく質とリンの含有量を最小限の抑えています。ナトリウム量を抑え高血圧にも配慮していますので、肉や様やをトッピングしてあげる事で心臓病の療法食としても使用できます。この療法食を利用されている方の口コミをご紹介しておきましょう。
・腎臓の数値が悪くなってきたので、5か月ほどこちらの療法食を使用していました。今は数値が正常に戻っています。
・アニモンダ インテグラプロテクト腎臓ケア
腎臓ケアのための美味しい食事療法食です!
鶏肉をメインに、豚肉と牛肉をミックスし、腎臓ケアの食事療法が必要な愛犬のための療法食です。腎臓病に配慮して、通常の食事よりたんぱく質とリンを軽減しており、腎臓病で付属しがちなビタミンD3を強化しています。この療法食は美味しく食べられる事にも重点を置き、良質な生肉を鮮度のいい状態で加工しています。食べ飽きないよう鶏・牛・豚の配合を変えてバリエーションが豊富に用意されていますので、食欲がない愛犬でも喜んで食べてくれるのではないでしょうか。ここで、実際にこの療法食を利用されている口コミをご紹介します。
・ナチュラルハーベスト 腎臓ケア用食事療法食 セラピーティックフォーミュラ「キドニア」
腎臓の健康維持に配慮した食事療法食です!
腎臓にトラブルを抱えた愛犬に、低たんぱく質・低リン・低ナトリウムで腎臓の健康をサポートする療法食になっています。残された腎機能のために、機能性食材である豚腎臓・EPA豊富な魚油・トルラ酵母・タウリン・メチオニン・パパイヤ乾燥末を配合し、十分なエネルギーを供給するために、低コレステロールの植物油と消化吸収性に優れたα化米を配合しています。ここで、この療法食を利用している方の口コミをご紹介しましょう。
・腎臓病と診断されて8か月になります。先生に勧められて他の療法食を食べていたのですが、食いつきが悪く、次のこの療法食を紹介してもらいました。早速食べさせてみたところ、食いつきがよく安心したのを覚えています。人間でもそうですが、犬もやはり美味しいものを食べたいですもんね!今後も継続して与えようと思っています。
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