【徹底解説】犬の嗅覚の仕組みや凄さをご紹介!犬種による違いなども
2022/03/15
目次
犬の嗅覚の仕組みや凄さ
においを感じ取るのは、鼻の中の嗅上皮にある嗅細胞によって感知されます。
犬は、においを受け取る場所である嗅上皮の面積が広く、嗅細胞が多く存在するので、嗅覚が人に比べ優れており敏感に嗅ぎ取れることができるのです。
犬の鼻は人間の100倍の距離まで嗅ぎ取る
100倍の距離ではなく人間の鼻に存在する受容体の数が100倍と言われています。
膨大な臭気情報を処理するため、平均的な犬の嗅覚皮質(においを処理するための脳の部位)は人間の40倍も大きいです。
犬はにおいの情報処理を行なう嗅球とよばれる脳の部位が発達しているため、犬種によって異なりますが、犬の嗅覚は人に比べて100万倍から1億倍優れているといわれています。
果てしなく多く感じますね。
しかしこれはにおいを「100万倍強く感じている」「100万倍遠くからでも嗅ぎ取れる」というわけでなく、逆にその匂いが100万分の1の匂いになってもかぎ分けることができ、人間には感じ取ることができないほどの匂いもかぎ分けられるのだそうです。
犬の鼻は匂いを捕らえやすい
犬のにおいの捕らえ方は、人間とは少し異なります。
人間はにおいだけでもにおいを感じ、また、味とにおいの組み合わせでもにおいを感じることができすが、犬の場合はにおいを単独で感じる事の割合が多いようです。
犬の嗅覚の優劣は、鼻の穴(鼻腔)の構造に左右され、鼻腔の表面(嗅上皮)内には臭いを感知するセンサーが(嗅細胞)があります。
人間の嗅上皮は約3~7平方センチメートルでだいたい1円玉~10円玉程の面積しかなく、含まれる嗅細胞の数は500万個程度です。
一方、犬種によって多少の変動はあるものの、犬の嗅上皮は約150~390平方センチメートルで人間の50倍以上!
ちょうど1000円札1枚ちょっとの面積に相当し、含まれる嗅細胞の数も約2億2千万個と、人間を圧倒しています。
表面積が大きいということは、それだけ多くの嗅細胞が存在することでにおいを捕らえ嗅覚が優れていると言えるでしょう。
犬の鼻は嗅ぎ分けのプロ
犬は敏感ににおいを嗅ぎ分けるため、得意なにおいと苦手なにおいがあります。
得意なにおいは、酢酸(人間の汗に含まれているびおい)で、人間と暮らすようになった犬が大好きな飼い主さんのにおいを覚えたという説があります。
もう一つは吉草酸(脂肪酸の一種)です。
分かりやすくいうと、足の裏のにおいのことです。
靴下には飼い主さんの足裏のにおいにが一番付いているため、靴下好きの犬が多いのは吉草酸に敏感に反応しているからかもしれません。
日常生活において基本的には、人間に支障ないレベルであれば、犬への影響もほぼないと考えても大丈夫ですが、人より嗅覚が優れた犬には化学物質などから作られた人工的な匂いや刺激臭が強すぎるものは苦手に感じているかもしれません。
犬の鼻は空気の制御もできる
左右の鼻孔にある翼状の弁は、息を吐くときは閉じ、においを嗅ぐときに開くことで空気の流れを制御しています。
これにより、息を吸ったときに入ってくる別のにおいと、空気を脇に押しやることで、においと空気が混ざるのを防いでいます。
また、特殊な例としてブラッドハウンドの垂れ耳は、地面に引きずってにおいを舞い立たせることで、少しでも鼻に届きやすくしていると言います。
クンクンと嗅ぐのは交流のため
お散歩は、出会った人や犬と交流し毎日定期的に体を動かす事によって、健康維持や人との関わりのきっかけをつくり、犬だけでなく人にも良い効果をもたらします。
散歩中に地面や草花のにおいを嗅いだり、誰彼かまわず人のにおいを嗅いだりします。
これはにおいを通して社会的な交流を図っています。
犬にとってのにおいが人間で言う言葉を表現しているのと同じです。
初対面の相手を知るにはまず臭いをかぎ、相手の情報を収集しているのです。
犬はにおいで他の犬を識別するだけでなく、互いの口を嗅ぐことで相手が何を食べたかを理解しています。
犬は匂いを嗅いで時間管理を行う
実は犬にも「体内時計」が存在するのです。
人間と同様に犬の体内時計も光を浴びることでリセットされ、一定のリズムを保ちます。
そのため、正しい体内時計を保つには外の散歩がとても必要となってきます。
もしも、外に出て日の光を浴びないと犬は朝なのか夜なのかが分からなくなります。
朝、散歩に行き朝の日差しを浴びることは、生活リズムを規則正しく保ちホルモンバランスを整えるなどとても重要な役割を果たしています。
また、犬は春から夏には皮下脂肪量を減らし夏毛になり、暑さに対応できる体をつくります。
そして秋になると冬に向けての準備として食欲を増し、皮下脂肪を増やして寒さに対応できる冬毛になろうとします。
犬が外に出て日光を浴びる事により季節もしっかり感じられるようにしましょう。
犬種による嗅覚の違いは?
犬の嗅覚能力はマズル(鼻先)の長さが長いほど、優れているといわれています。
犬はマズルの長い順に長頭種、中頭種、短頭種の以下の三つのグループに分けられます。
犬の鼻内部には匂いを探知する細胞があり、鼻の長さ・大きさによって嗅覚に違いがあります。
嗅覚が弱い短頭種
犬はにおいを受け取る場所(嗅上皮)の面積が人間より広いため、においを敏感に嗅ぎ取ることができます。
犬のマズルは種類によって違い、マズルの長さによって嗅覚は異なります。
狭く細胞の数が少ない短頭種のパグ、フレンチブルドッグ、ペキニーズ、ボストンテリアなどは呼吸がしずらいため、長頭種の犬と比べると嗅覚が少し弱いといえます。
さらに熱を逃すのが苦手なので、夏は熱中症にならないよう気をつけてあげましょう。
日本犬は猿追いが得意
最近、日本の各地で農作物を荒らす猿が増えています。
農作物を守るために猿を山へ追い戻す使役犬「猿追い犬」=「モンキードッグ」が活躍しています。
いろんな種類の犬に訓練をおこない、さまざまなモンキードッグが誕生していますが、なかでも「猿追い」に向いた性質を持つといわれるのが、柴犬をはじめとする日本犬です。
日本犬は空気中の上方に漂う臭いを察知することに長けており、木の上の方にいる猿の臭いを感じ取ることを得意としています。
嗅覚に優れた嗅覚ハウンド
テリア犬を除いた狩猟犬のことを「ハウンド」と呼びます。
さらに「ハウンド」は「視覚ハウンド」と「嗅覚ハウンド」の2種に分類されます。
嗅覚ハウンドは、犬特有の能力である臭いを嗅ぎ分けることを生かして活躍してきました。
嗅覚ハウンドは「セント・ハウンド」とも呼ばれ、もともとは大型で非常に嗅覚に優れた犬種だったとされています。
地面に鼻を押し付けるように臭いを嗅ぎ、その鋭い嗅覚で獲物をどこまでも追い詰めてました。
最近は嗅覚ハウンドの多くも人間の家族として暮らしています。
代表的な嗅覚ハウンド①:ブラッドハウンド
フランスのアルデンヌ地方で暮らしていた大型ハウンドを11世紀イギリスへ持ち込み、外来種と交配させた犬種が「ブラッドハウンド」です。
並外れた嗅覚を持つ犬としても知られ、傷ついた獲物の足跡を発見することが得意なために「ブラッド」と名付けられたそうです。
日本では希少な犬種ですが、優れた嗅覚を生かして行方不明者の捜索などで警察犬として活躍するほど賢い犬です。
落ち着きのある穏やかな性格で、人とも犬とも仲よくできる社交性も持ち合わせています。
代表的な嗅覚ハウンド②:プチ・バセット・グリフォン・バンデーン
16世紀頃、プチ・バセット・グリフォン・バンデーンは、フランスのバンデーン地方でウサギ狩りなどの猟犬として活躍していたとても古い犬種です。
大きな垂れ耳、胴長で短い足、硬い被毛が特徴で、陽気で元気いっぱいで家族には愛情深く接する優しい犬種です。
もともと猟犬だっため、落ち着いた家庭犬となるためには毎日たっぷりと運動させることも必要です。
愛犬とアウトドアライフを楽しみたい人には、運動神経もよく、外で活動することが大好きなのでピッタリです。
代表的な嗅覚ハウンド③:ビーグル
嗅覚ハウンドの中で一番小さな犬で、昔、イギリスではウサギ狩りのために珍重されていました。
「スヌーピー」のモデルとなった世界中で愛されている犬種ですが、優れた嗅覚で獲物を追いかける狩猟犬です。
好奇心が強いので、興味を持ったものを追いかけるのに夢中になりやすく猟犬に向いてると言えるでしょう。
性格は、非常に愛情深く、人なつっこく甘えん坊で人見知りをしないので家族ともほかの人や犬とも仲良くできる犬種です。
まとめ
ひとえに「犬は鼻が良い」と思っていましたが、人間の1億倍も優れた嗅覚でにおいを察知していたなんて驚きです。
複数のにおいを識別したり、人間にはキャッチできないわずかなにおいを感知したり、人間の鼻の機能とは大きく異なっていることが分かりました。
そのため猟犬や警察犬などで活躍している犬種も多くいます。
人間が良いにおい、と感じていても愛犬からすれば不快なにおいという可能性もあるため、一緒に生活する時は充分気をつけてあげましょう。
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