愛犬のリンパ節が腫れている?犬のリンパ腫の症状や治療法など

2022/02/13

目次

犬のリンパ腫はどんな病気?

犬のリンパ腫とは簡単に言うと血液のガンの一つです。

血液ガンの中にはリンパ腫の他に、白血病や多発性骨髄腫が代表的でしょう。

リンパ腫とは、白血球の一つであるリンパ球がガン化することによって発症するのですが、リンパ球は免疫システムの中で重要な役割を果たす血液成分の一つとなっています。

リンパ腫はリンパ節や肝臓、脾臓などの臓器に発生し、悪性腫瘍が多いですが、骨髄で発生する白血病とは、この部分で異なるでしょう。

犬のリンパ腫の症状

犬のリンパ腫の症状には部位によって出てくる症状が異なります。

ここでは部位別の症状を詳しくご紹介していきましょう。

消化器型(腸)の症状

消化器型リンパ腫は、胃・十二指腸・空腸・回腸・結腸に発生します。

数年前には、日本でミニチュアダックスフンドの消化器型リンパ腫が急増していましたが、最近では減ってきています。

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症状
・慢性的な嘔吐・下痢
・メレナ(黒色便)
・食欲不振
・体重減少
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犬ではあまり見られる種類ではありません。

かたまりのような腫瘤ができることもあれば、かたまりを作らず広く消化管に広がるときもあります。

消化器型リンパ腫には炎症性腸疾患と判別が難しい例も見られるので、上記のような症状がある場合にはできるだけ早めに受診しましょう。

皮膚型(皮膚)の症状

皮膚型リンパ腫は犬の皮膚および粘膜の臨床兆候を示し、生命を脅かす皮膚疾患です。

生存期間は数カ月~2年程度と言われており、メスで多く発生し、コッカースパニエルやゴールデンレトリバーなどの犬種で発生しやすいと言われています。

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症状
・紅斑
・びらん、潰瘍
・局面
・脱毛
・小結節
・鱗屑
・痂皮
・色素脱
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口唇や体幹などの皮膚に発生し、皮膚炎と見た目が似て区別が難しいとされており、節外型リンパ腫に分類されることもあります。

縦隔型(胸)の症状

縦隔とは胸部と骨と横隔膜に囲まれ、左右の肺に挟まれた部位を指し、心臓や大きな血管、リンパ節など重要な臓器も含んでいます。

縦隔型リンパ腫では、縦隔にあるリンパ節で、リンパ種の細胞が増殖し、リンパ節が大きくなることが特徴的なのですが、犬で発症するのは稀です。

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症状
・腫瘤による圧迫
・胸水貯留による呼吸困難
・高カルシウム血症
・咳
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多中心型(皮膚下リンパ節)の症状

多中心型リンパ腫は犬の中で最も発症率が高いと言われており、体表にあるリンパ節が1つあるいは複数腫大します。

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発症しやすい部位
・下あご
・腋窩
・鼠経
・膝窩
などといったリンパ節が左右対称性に腫大することが特徴的。
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病状の進行に伴い、肝臓や脾臓に腫瘍細胞が浸潤するようになり、さらには骨髄や中枢神経などにも病変が拡大することもあります。

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症状
・体重減少
・食欲不振
・元気消失
・発熱
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中には無症状のうちに進行する場合もあるので、注意が必要です。

また、状態が良好な症例が多いのですが、頸部周辺のリンパ節が腫大している場合、気道、食道を圧迫するため、呼吸困難になることもあるでしょう。

節外型(それ以外)の症状

節外型リンパ腫とは、上記でご紹介したリンパ腫で肝臓や脾臓、腎臓、中枢神経系、眼などにできるリンパ腫です。

また、リンパ球にはB細胞とT細胞があり、どちらの細胞が腫瘍化しているかにより、B細胞性リンパ腫とT細胞性リンパ腫に分けられます。

このリンパ球の種類の違いにより、治療方法や治療への反応、予測される余命が大きく違ってきます。

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症状
リンパ腫ができた部位によって異なる。眼にリンパ腫ができた場合などは、
・目の充血
・出血
など
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犬のリンパ腫の治療法

リンパ腫になった犬を治療せず放置しておくとほどんどが約4~6週間後に死亡すると言われています。

現段階では、根治目的ではなく緩和目的の治療になるのですが、リンパ腫によって起こる悪影響や全身症状を改善してリンパ腫と付き合いながらできる限り生活の質を維持していくことが目的とされています。

ここではリンパ腫の治療方法についてどんなものがあるのかご紹介していきましょう。

外科療法

リンパ腫は全身性疾患なので、通常は外科療法の範囲ではありません。

ですが、皮膚に腫瘤ができていたり、眼球や腹腔内でも病変を作っている場合には、手術によって大きなリンパ腫の病変を取り除き、がん細胞の数を減らしてやることは治療上有効と言われています。

しかし、リンパ細胞は全身に存在するため、外科手術のみの治療で終わらず、補助療法として化学療法や放射線療法を併用し、全身に対する治療を施すことが必要になるでしょう。

化学療法

リンパ腫は全身性疾患なので、全身に効く治療方法である化学療法が主体となります。

簡単にいうと抗がん剤治療です。

使用される抗がん剤は多種多様であり、そのときの動物の全身状態やリンパ腫の種類によって変化します。

基本的には数種類の抗がん剤を組み合わせ、きちんと計画された間隔で薬剤を投与することが多いですが、通院や治療のコスト、治療効果、副作用のコントロール、予後などについては担当医をしっかり相談をするようにしましょう。

食事療法

ガン治療の初期段階から栄養管理の重要性をしっかり認識することは非常に大切になってきます。

リンパ腫に限らず、ガンを患った動物は多種栄養素の代謝の変化が起こるでしょう。

炭水化物、たんぱく質、脂質の代謝が健康な動物とは違ってくるので、ちゃんと食べても痩せてしまう現象が起こりやすくなってきます。

そのため、食事の成分に気をつけるだけではなく積極的な栄養管理を行って行く必要があるのです。

具体的には食事を温めるなどの工夫や食欲増進剤などの使用などが一般的なのですが、十分な効果が得られない場合は、チューブを用いた栄養補給法を検討する必要があるでしょう。

放射線療法

リンパ腫は放射線に対しての感受性が高いことから、腫瘍が限局している場合や、全身性ではありますが、特定病巣によって生活の質が低下している場合には局所への照射も効果的と言われています。

リンパ腫の予防法はある?

リンパ腫は原因が不明な病気なので、予防は非常に難しいのですが、子犬の時期から愛犬の顎や脇の下をこまめに触ってしこりがないかどうか注意深くチェックすることが大切です。

他には定期的な健康診断などもあります。

リンパ腫の進行は早いので、2か月放っておけばあっという間に衰弱してしまいます。

早期発見を心掛けるのが一番の予防となるのではないでしょうか。

まとめ

今回は犬のリンパ腫についてご紹介してきました。

一言でリンパ腫といっても種類や発症する部位が違い、それによって治療法も変わってきます。

ですが、進行が非常に早いというのはどれも共通なので、早期発見が一番の予防法です。

日頃から愛犬の健康管理をしっかりしてあげるようにしてくださいね!

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