愛犬の破壊行動の原因は分離不安障害かも?20サインと5つの解決策

2020/03/31

目次

愛犬の破壊行動の原因はストレス?


ある日突然、可愛い愛犬が留守番中に、ありとあらゆる物に噛みついて引っかいて、家の中をめちゃくちゃにしてしまったということがあります。そう、急に破壊行動を初めてしまったのです。一緒にいるときは良い子であればなおさら、留守中に起きたことを信じられないという飼い主も多いのですが、犯人は愛犬だったのです。子犬のころ、壁をかじったり、爪で引っかいたりとあったかもしれませんが、成犬になると身体も大きくなっているし、興奮してやっているのでその凄まじさは想像以上です。破壊行動の原因はいろいろ考えられるので、ひとつひとつ確認してみましょう。

・運動不足

まず考えられるのが、運動不足です。犬を飼うとなれば、やはり毎日の散歩の時間を確保しなければなりません。小型犬であれば朝夕に1~2回30分程度でよいですが、中型犬になれば朝夕に一日2回、それぞれ30分は必要です。そして大型犬の散歩も朝夕の1日2回、時間は30分から1時間というのが目安になります。このように、犬種によって適切な運動量というのがあるので、参考に運動不足にならないようにすることも飼い主の大切な仕事です。

・コミュニケーション

次に考えられるのがコミュニケーション不足です。コミュニケーションとは犬と生活するにあたって最も大切なことかもしれません。名前を呼ばれたらきちんと飼い主の方をみる。愛犬がしてほしいということを察してあげる。反対に飼い主がしてほしいことを理解してくれている。

体中どこを触られても喜んでいる。こういったことができるのは、きちんとコミュニケーションが取れている証拠です。飼い主との意思疎通ができていない場合は犬にとって大きなストレスに違いありません。

・生活環境

そして生活環境はどうでしょう?猫は家に付き、犬は人に付くと言われていますが、ずっとお世話をしてくれていた飼い主さんが、病気で入院して、急に会えなくなったなどは犬にはダメージが大きいです。反対に家族が増える、例えば飼い主さんが出産して赤ちゃんが生まれた場合、今まで一番だった愛犬が後回しになってしまうということも起きるのです。これももちろん犬には思いがけない環境の変化でしょう。ほかにも部屋の中を自由に歩き回っていられたのに、急に狭いケージにずっと入れられたままになるというのも大きな環境の変化で急にこのように変わるとストレスになります。

・ケア不足

愛犬のお手入れはどうでしょう?犬種によっては毎月サロンのトリミングが必要ということもあるでしょう。トリミングの必要がない、短毛の犬種もいます。どちらの犬種も自宅てできる範囲のケア、グルーミングと言われるブラッシングや爪の手入れ、耳そうじや歯磨きはやってあげましょう。もし爪切りや耳そうじは怖い、難しいと尻込みしてしまう人であっても、ブラッシングは誰でもできます。グルーミングは犬の健康維持と同時に、犬とのコミュニケーションとしても大切な行為になりますので、できるところからやってあげましょう。

・精神障害

近年増加傾向なのが、犬の精神障害といわれています。犬でも人間と同じようにうつ病や、PTSD(心的外傷ストレス障害)の症状が出るという症例が増えているのです。昔は犬には精神障害はないと言われていたのですが、動物行動の研究や脳の研究が進んだ今、動物も人間と同じように感情があって人間と同じような病気を患うことがあるとほとんどの獣医師が認めています。一緒にいるときもなんだか元気がない、怯えているなどの表情が見られるときは精神障害を考えてみることも必要です。

・身体内部からの障害や疾患

ほかにも身体の障害や体の内外の疾患がある場合もあります。統計的に一番多い疾患は外耳炎です。たれ耳の犬に多く見られる疾患です。次に多いのが皮膚病です。また、犬種によっては心臓病や椎間板ヘルニアになりやすい犬種もあります。障害や疾患がある場合は、人間もなんとなく気分がすぐれず、漠然とした不安感にさいなまれることが多く、それは犬も同じです。犬に自覚がなくてもイライラが募ってついつい荒れた行動をとってしまうこともあるようです。

もしかして分離不安障害の可能性も?


破壊行動の原因で分離不安障害という病気の可能性も考えられます。分離不安障害とは、飼い主と離れることに不安を感じて、荒れた行動を起こしたり、食欲が低下したりする症状のことです。家の中でも飼い主の後をずっとついて回ったり、トイレやお風呂に飼い主が入った時に激しく鳴く、飼い主が出かけるまえは吠え続けるなどの症状があり、特にほかの疾患や障害が考えられないというときはこの分離不安障害だという可能性が高いかもしれません。

分離不安障害20のサイン


分離不安障害であるかどうかというのはサインがあります。愛犬の起こす行動が分離不安症によるそれなのか、飼い主のしつけが悪いのか、退屈しているだけなのか、ただのわがままなのか、と見極めが大切です。1.おしっこや糞を決まったところでしなくなる。2.無駄吠えをする。3.食欲の減退。4.留守番中いつまでも吠え続ける。5.壁や柱をかじる。6.自分の足などを噛む(自傷行為)7.食糞をする。8.同じところいつまでもぐるぐると歩き回る。9.落ち着きがない。10.飼い主が出かけようとするとそばを離れない。11.飼い主が帰って来た時に過度に興奮する。12.よだれを垂らす。13.家から飛び出そうとする。14.嘔吐を繰り返す。15.ドアや出入り口を破壊しようとする。16.震える。17.下痢。18.攻撃的になる。19.息が荒く唾液の分泌量が多い。20.瞳孔が開いている。 飼い主が不在で留守番をしているときに、以上のような症状がみられるときは分離不安症を疑った方が良いでしょう。留守中のことはなかなかわからないので、留守をした後に部屋が荒れているようなことが続く場合は、カメラなどを準備して留守中の愛犬の様子を見てみるようにしましょう。

分離不安症15の原因


ではその分離不安症になる原因を考えてみましょう。1.飼い主が変る。2.飼い主の家族が増える。急に二世帯住宅になり、知らない大人が増えたり、飼い主の出産で赤ちゃんが生まれたりなど。3.引っ越しで家が変る。4.飼い主とのコミュニケーションの時間の激減。5.留守番の時の怖い体験。留守番時の地震や雷の体験など。6.飼い主に捨てられた経験。7.保護犬。特に引き取ってすぐのころは分離不安症を患っている傾向が多いです。8.母犬から受けた育児放棄。9.家族との死別、離別。10.ほかの動物の死別、離別。11.集団行動の不足。犬は元来群れで生活をするのですが、飼い犬になったら人間の中に一匹だけでの生活になってしまいます。11.遺伝性。先天的に分離不安症になりやすい犬というのもいます。12.子犬で元気が良く、一人遊びが苦手な犬は退屈から分離不安症になることもあります。13.留守番の経験がないなど、しつけ不足からなる犬も。14.生活パターンの変化。朝型だったのが夜型に変わるなど。15.まれにですが、バクテリアによる感染症という場合もあります。など、原因はさまざまですが、愛犬に破壊行動があって、この原因に心当たりがあるのなら分離不安症というのを疑ってみたほうが良いといえます。

分離不安障害の解決方法


もしも愛犬が分離不安障害を患ってしまったら、飼い主としていったい何ができるのでしょう?分離不安症による破壊行動は、家の中が荒れてしまい飼い主の大きなストレスになります。それでも家の中のことは飼い主が我慢して片付ければいいのですが、留守の間中吠え続けるなどの場合は、ご近所からのクレームにもなりかねません。そんなクレームが続いたら最悪の場合引っ越しも視野に入れないといけなくなってしまいます。そうなる前に、飼い主にできる解決方法をいくつか見ていきましょう。

①クレイト・トレーニングをする

クレイトの中に入れるのが狭くてかわいそう、という飼い主さんもいるのですが、本来犬は穴倉などを自分の寝床にしていたという歴史があるため、クレイトの中は唯一安心できる自分だけの場所になるのです。それを知るとクレイトを準備してあげない方がかわいそうだと思いませんか?トレーニング自体もとっても簡単ですので、徐々に慣らしていくと遅くとも1ヶ月半くらいで、クレイトでお出かけなどもできるようになります。

②お出掛けすると見せかけて、すぐ帰る

分離不安症というのは飼い主がそばにいるときは安心して、症状が出ないのですから、いきなり長い時間留守番をさせるのではなく、短い時間から慣れさせるのも効果的。「お出かけしてくるね」と声をかけて家を出ても30分くらいですぐに戻ります。お出かけ=すぐに戻ってきてくれる。と思わせるのです。次に1時間くらい、その次に2時間くらい、と徐々に時間を延ばしていきましょう。少しでも様子がおかしいと思ったら、すぐに短い時間にもどします。急がずゆっくり練習していきましょう。

③テレビやラジオ、照明をつけておく

出かけるときは明るい時間帯でも、帰りが夕方から夜になる場合は、照明を点けておく、またはタイマーで暗くなったらスイッチが入るようにしてあげましょう。人間でもだんだんと暗くなる部屋の中に一人でいると、寂しい気分になります。それはもちろん犬も同じです。同じように、人通りの少ない地域の住まいなら、留守番の間にラジオやテレビを点けてあげて、何かしら人の声や音楽が聞こえてきて、寂しく感じないようにしてあげるのもいいでしょう。

④愛犬だけでデイケアやお泊りに行く

またお留守番をさせるのではなく、デイケアや宿泊施設に預けるのも良いでしょう。飼い主だけとの生活から抜け出して、新しい環境を体験させることが愛犬を精神的に強くすることができます。デイケアであっても宿泊施設にしても他の犬もいますし、スタッフはお世話もしてくれます。飼い主にとっても安心して預けられる環境というのは、愛犬にとっても安心して過ごせる場所になります。飼い主と離れても一人ではないということが、だんだんと分離不安の症状を軽減していくことは間違いないでしょう。

⑤飼主が外出する時はハッピーがもらえる!と思わせる

そして留守番ができたこと、たとえ分離不安で家の中をめちゃくちゃにしたとしても、留守番ができたことに対して、ご褒美をあげましょう。タイミングとしては、出かける前ではなく帰って来た時に、身体をなでながら、「賢いね、いい子だね」と言っておやつをあげます。それを繰り返すうちに、いい子で留守番をするとおやつがもらえる、と頭で覚えてきます。お覚えてしまえば、飼い主のお出かけも嫌なものでなくなるので、分離不安症も解消されるでしょう。

最後に


みなさん、いかがでしたか?愛犬の破壊行動の原因は、ストレスと一言では片付けられない、複雑な理由が絡み合って起きていると思われます。もしも、あなたの愛犬に破壊行動など問題行動がみられる場合は、原因を探って、自宅で対処できそうなところからやってみたらよいでしょう。それでもなかなか問題行動が治らないという場合は、恥ずかしがったり、躊躇したりせず、動物病院の先生やペットトレーナーの方に相談に行きましょう。

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