犬の心臓疾患とは?その種類と対処法、おすすめ療法食3選を紹介
2020/04/15
目次
犬の心臓疾患とは?
愛犬が心臓疾患だという診断を受けると、この子はもう助からないのでは、先が長くないのではないかと思ってしまいますよね。
確かに、ペットとして飼われている犬の死因の第二位は、「心臓疾患」というデータ(ペット保険会社調べ)もあるように、死因としては多い心臓疾患ですが、
10歳以上の犬の30%が何らかの心臓疾患に罹っていると言われています。
また、種類や発見時期によっては進行を遅らせたり、症状を軽減したりすることが可能です。
犬の心臓疾患の種類と症状
前述の通り、ひとくちに犬の心臓疾患と言っても種類がいくつかあり、当然、種類によって症状や対策も異なります。ここでは、主な心臓疾患の種類とその症状、代表的な治療法について解説していきます。
はじめに前提として、心臓を構成する4つの部屋と、血液はどのような流れで体を巡っているかを説明します。血液は,肺(ここで新鮮な酸素を取り込む)→左心房→左心室→全身(ここで酸素と栄養を渡す)→右心房→右心室→肺→左心房……の順でグルグルと循環しています。
①肺動脈狭窄症
生まれつき肺動脈の一部分が狭くなっている症状を「肺動脈狭窄症」と言います。肺動脈は心臓の右心室から肺へ流れる血液が通る血管を差しますが、この肺動脈が狭いと、通常の太さの肺動脈と比べて血液が流れにくくなっているため、肺動脈の負担が大きくなります。
また、そのような状況下で右心室が頑張って血液を肺に届けようとすると、右心室の筋肥大が起きてしまいます。狭窄の程度にもよっては症状が出ない場合もありますが、たいていは心不全や不整脈を引き起こし、それにより「すぐに疲れてしまう」「あまり動きたがらない」「食欲不振」などの症状が見られます。
程度が軽度であれば投薬治療(筋肥大を防ぐものや、不整脈を整えるものなど)をして経過観察をするケースが多いですが、重度だと外科手術が必要になります。
②動脈管開存症
こちらも生まれつきの症状で、動脈管が閉じることなく残ってしまっている状態のことを動脈管開存症と言います。動脈管とは、子犬が母犬のお腹の中にいる間に、肺動脈から大動脈への通り道として使われていた血管で、子犬が産まれ肺呼吸を始めると不要になるので自然に閉じます。
しかし、この動脈管が閉じずにいるものを動脈管開存症と言います。動脈管が開いたままだと、本来心臓から体全体に流れるはずの大動脈からの血液の一部が肺動脈に流れ込んでしまい、それにより肺や心臓に負担をかけてしまいます。
症状は動脈管の開き具合によって異なり、軽度の場合はある程度の年齢になるまで気づかれず通常通りに過ごすことができますが、重度だと幼いうちから「咳・呼吸困難」、「食欲低下」、「動きたがらない」などが見られ、体の成長が妨げられる場合もあります。
症状が確認できている状態で放置すると心不全になってしまう可能性があるため、早い段階で動脈管を縛って閉じる手術を受ける必要があります。
③心筋症
心臓の筋肉である心筋に発生した異常により、心臓の機能に問題が起きた状態を指します。心筋が厚くなる肥大型心筋症と、薄くなる拡張型心筋症に分かれ、前者はあまり犬に発症せず、猫に多くみられます。
後者は大型犬に多くみられ、左心房と左心室の壁が薄くなってしまうことで心臓のポンプ機能が弱まり、全身に十分な量の血液を送り出すことが難しくなってしまいます。
症状としては進行が進むにつれ「食欲不振」「すぐに疲れる」「咳」や、重症化すると「呼吸困難」「失神」を引き起こすこともあります。
治療法は、投薬により症状を緩和させることにとどまり、外科手術は一般的ではありません。
④心室中隔欠損症
生まれつき、左心室と右心室の間の壁に穴があいている状態を指します。穴があいていることにより、血液が本来の流れとは逆に流れ込んでしまい、右心室に負担がかかります。
穴が小さければ成長とともに自然に閉じることもありますが、症状が悪化すると肺にも負担がかかるようになります。聴診器で心臓の音を聴くと心雑音が確認できます。穴が小さい場合は目立った症状が現れないこともありますが、症状が重い場合は「咳」「動きたがらない」「食欲不振」「呼吸困難」「発育不良」などがみられます。
治療法として、穴が小さい場合は定期的に経過観察して塞がるかどうかを確認し、塞がらず穴が大きくなるような場合は手術で穴を塞ぎます。投薬では穴を塞ぐことはできません。
⑤不整脈
安静時の心拍数が定まらない状態を指します。一般的に、小型犬は1分あたり60〜80回、大型犬は40〜50回が正常な心拍数と言われています。
ただし、興奮した時に脈のリズムが不安定になる状態は洞性不整脈と呼ばれ、心配しなくても大丈夫ですが、判断がつかない場合は医療機関へ受診してください。
明らかな不整脈が確認できる場合、重篤な疾患を抱えているケースも多いため、不整脈の疑いを持ったら詳細な検査を受けることを勧めます。
不整脈は根本的な病気の副次的な症状として現れることが多いため、根本の病気を突き止め、治療することが重要ですが、不整脈によって「咳」「呼吸困難」「尿量の変化」等の症状も現れるため、自律神経に作用する交感神経遮断薬などを使って不整脈を抑えます。”
⑥フィラリア症
蚊による媒介で、フィラリアという寄生虫が心臓に棲み着いてしまう病気です。フィラリアは肺動脈や右心室に寄生するため、血液の循環が妨げられます。
それにより、「咳」「運動をしなくなる」「吐血」のほか、「むくみ」「腹水」「肝臓肥大」など、見落としてしまうような症状もみられます。
寄生された数が多いと、フィラリアが血管を塞いでしまうため、症状が急激に悪化することもあります。寄生数が多いと手術で成虫を除去しますが、現在は予防薬を長期的に投与し続けることがメジャーとなっています。毎年、蚊が活動を始める少し前から、蚊がいなくなって1ヶ月後ぐらいまで予防薬を飲んだり、寄生虫を防ぐ首輪を着けたりすることが一般的です。
心臓疾患の中で最も多い僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は、特に高齢の犬や、マルチーズ、シーズー、キャバリア、ポメラニアン、チワワなどの小型犬で発生がとても多い心臓疾患と言われています。僧帽弁とは、左心房と左心室の間にある弁(扉)で、通常、弁があることにより、血液の逆流を防ぐ役割を果たしています。
①心臓の中の扉が閉じなくなる病気
僧帽弁閉鎖不全症は、前述の僧帽弁が、弁として正常な役割を果たせなくなってしまっている状態のことを指します。つまり、左心房と左心室の間で血液の逆流が生じてしまっているということです。
その結果、正常時よりも全身に送られる血液の量が少なくなってしまいます。
症状が軽度な初期のうちは、それでも全身に血液を送り出そうと心臓が頑張って働きます。この状態では、心雑音は確認できますが具体的な症状は現れません。
②進行すると肺水腫を引き起こす
この状態が続くと、心臓内に血液が溜まってきてしまうことにより心臓のポンプ機能が落ち、次第に心臓が肥大していきます。特に左心房の肥大が顕著で、左心房の肥大により気管を圧迫し、気管虚脱を誘発します。
気管虚脱は、気管が押されて変形してしまうことを指し、咳の症状が出ます。
さらに心臓の肥大が進行すると、今度は心臓のみならず肺にまで血液が溜まってしまいます。この状態を肺水腫と呼び、水中で溺れているのと同じような状態になり、呼吸困難などの症状が出て、死に至る場合もあります。
心臓疾患を少しでも悪化させないためには?
心臓疾患を抱えた犬は、食事や運動など、日常生活に制限が必要な場合もあります。この時に大切なことがなるべくストレスを軽減させてあげることです。
血圧や心臓の機能を支配しているのが自律神経ですが、この自律神経の働きに最も悪影響を及ぼすものがストレスです。そのため、「少しでも長く幸せに暮らせる時間を増やしてあげよう」「制限があっても出来るだけ快適な生活ができるように」という気持ちで接してあげることが大切です。具体的には「食事」「投薬」「運動」「生活環境」「病院との関わり方」の側面から説明します。
①食事
・肥満に注意
肥満は心臓に負担をかけるため注意が必要です。理想はは適度な食事と運動によって適性体重を維持することですが、運動制限がある場合は摂取するカロリーに制限を加えるなどの対応も必要です。
ただし、必要以上に体重を落とすことは基礎体力の低下や免疫力の低下を引き起こすので、まめに体重や筋肉量の測定をすることが大切です。
・塩分に注意
塩分が高い食事も心臓に負担をかけることで知られています。心臓疾患を抱えているペット用の療法食(低ナトリウム食)も市販されているので、かかりつけの先生と相談の上で導入する手もあるでしょう。人間の食べ物の中には塩辛くなくても塩分を多く含んでいるものもありますので、容易に手の届くところに人間の食べ物を置かないことも大切です。
また、心臓病の進行度合いによっては必要以上の塩分制限は望ましくない場合もありますので、進行度合いに合わせた食事選びが大切です。
②投薬について
心臓疾患により処方される薬は心臓疾患そのものを治すものではなく、病気の進行を遅らせ、症状を抑えるとても大切な役割を果たしています。そのため、投薬を中断すると心臓に負担がかかり症状が悪化してしまう可能性があるので、処方された薬は指示通りに飲ませるようにしましょう。
また、薬を飲ませても吐き出してしまったり、薬を飲もうとしない場合はかかりつけの先生に相談しましょう。投薬は、毎日、一生続くものですから、犬と飼い主さま双方にとって出来るだけ負担がかからない投薬方法を探しましょう。
③運動について
心臓に負担がかかるような激しい運動は控えましょう。また、激しく興奮したり吠えたりする状況も同様に控えましょう。
ですが、運動不足も前述の通り基礎体力や免疫力の低下、肥満につながりますので、心臓疾患を抱えている犬に対しても適度な運動をさせてあげることが大切です。
特に、お散歩が好きな犬はお散歩に行けないことがストレスに繋がることもあります。
④生活環境について
暑さ、寒さも心臓に負担をかけます。一般的に寒さや乾燥よりも、暑さやムシムシした環境の方が心臓への負担が大きいと言われています。個体差もありますが、犬がストレスを感じない気温は15〜23℃くらい、湿度は50〜60%くらいと言われています。空調等を利用して、気温や湿度の調節をしっかりとしてあげましょう。
また、犬が自分で快適な温度の場所に移動することができる環境を作ってあげることも大切です。冬場は寝床に湯たんぽを置いてあげたり、夏場は冷感マットを敷いてあげたりすると良いでしょう。
室内外の温度差が大きいと急激に血圧が変動して心臓に負担をかけますので、冬場の外出時には、玄関などでいったん寒さに体を慣らしてあげてから外に出ることも大切です。
⑤健康状態の観察と病院の関わり方
心臓疾患の多くは、投薬治療等をしていても徐々に進行していきます。そのため、定期的に心臓の状態や病気の進行具合をチェックして、現在行なっている治療が適切なものであるかを確認する必要があります。
どのくらいの頻度でチェックすることが良いのかについては、疾患の種類によって異なりますのでかかりつけの先生とご相談ください。加えて、日常的に飼い主さまが犬の様子をよく観察しておくことも病気の進行の早期発見に非常に重要です。
また、病気の進行度合いにより、病院の診療時間外に容体が急変してしまうことも考えられます。そういった場合の応急処置の方法や、緊急で診てもらえる病院を探しておくことも大切です。
犬の腎臓疾患におすすめ療法食3選
リナール アクティブ 腎臓ケア(小粒)
腎臓と健康維持に配慮した食事療法食
慢性腎臓病、腎不全に対応し、タンパク質(14%)とリン(0.28%)の含有量を減少させた療法食です。ナトリウム量(0.09%)を押え、慢性腎臓病に伴う高血圧にも配慮しています。心臓病の場合は、タンパク質を補うため本品に肉や魚をトッピングすることをお勧めします。本品は四角型とハート形の2種類のタブレットで構成されており、うちハート形のタブレットはAFS(アクティブフレッシュシステム)タブレットというもので、それぞれのフードの目的にあったハーブ栄養素などの成分を凝縮して閉じ込めています。リナールアクティブには、腎臓機能の健康に配慮して、マウス耳ヤナギタンポポ、ハギ、アメリカンクランベリー、セイヨウタンポポ、ベアベリーを配合しています。本品は慢性腎臓病や腎不全の犬の健康に配慮したペットフードであり、腎不全を予防する食事ではありません。使用方法は獣医師の指示に従ってください。
インテグラプロテクト 腎臓ケア ドライフード
見出し記入腎臓ケアのための食事療法食、グレインフリー
腎臓病に配慮して、タンパク質(14%)とリン(0.36%)の含有量を軽減した食事療法色です。また、腎臓病により不足しがちなビタミンD3(1500IU/kg)も配合しています。グレイン(穀物)フリーのため、腎臓ケアが必要で穀物にアレルギーのあるパートナーにも対応しています。鶏、豚、牛のウェットフードも取り揃えているので、ドライフードにトッピングして、パートナーが飽きないように工夫することもできます。
腎臓ケア用食事療法食 セラピューティックフォーミュラ「キドニア」
腎臓の健康維持に配慮した食事療法食
腎臓の負担に配慮し、タンパク質(15%以上)とリン(0.30%)の含有量を抑えてあります。腎臓性の高血圧にも配慮し、ナトリウム量(0.11%)も抑えてあります。機能性食材である豚腎臓・EPA豊富な魚油・トルラ酵母・タウリン・メチオニン・パパイヤ乾燥末を配合し、腎臓機能をサポートします。加えて、低コレステロールの植物油と消化吸収性に優れたα化米を配合し、十分なエネルギーも摂取できるようにしています。
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