【徹底解説】愛犬を去勢すべき?しないべき?飼い主さんの声も紹介

2020/04/02

目次

犬の去勢手術とは?


オスの犬を飼い始める時に、去勢手術をするかしないか、まず考える飼い主さんは多いのではないでしょうか?去勢手術は、オス犬の陰嚢から精巣を外科的に切除し、繁殖能力をなくす手術です。

去勢手術の目的は、望まない繁殖を防ぐことが一番にあげられるますが、その他にもオス特有の病気の予防や問題行動の軽減・予防もあり、飼い主が愛犬と生活がしやすくなる事もあげられます。

ここでは去勢手術の方法やメリット、デメリット、手術の注意点を解説していきます。また去勢手術を受けさせた飼い主さん、受けさせなかった飼い主さんの声をそれぞれ紹介します。去勢手術を受けるかどうか迷っている方は是非参考にしてください。

①犬の去勢手術の方法

犬の去勢手術では、全身麻酔をかけて、陰嚢内にある左右2つの精巣を取り出します。犬の場合は陰嚢を直接切開するのではなく、陰嚢とペニスの間の皮膚を切開し、精巣を摘出する事が一般的です。精巣が陰嚢に無い「停留精巣(潜在精巣)」の場合はお腹を開ける手術になる事があります。

普通の去勢手術では、手術時間は30分から1時間ほどで終わり、その日のうちに退院となります。

犬の体格や精巣の大きさによっても異なりますが、手術で出来る傷は数センチ程度で、抜糸が必要な場合は術後1週間程で抜糸します。術後は傷口を噛まないために、抜糸までエリザベスカラーや術後服を使用する場合もあります。

また手術を受ける前には、術前検査として全身麻酔をかけても問題が無いか、健康状態をチェックします。検査では問診や触診、聴診などの身体検査の他に、左右の精巣がきちんと陰嚢内にあるかを確認します。必要に応じて血液検査、レントゲン検査、超音波検査も行われます。

②犬の去勢手術の費用の目安

手術の費用は、病院やお住まいの地域によって異なり、また犬の体重によって薬品の量が変わるため小型犬と大型犬でも異なります。

小型犬の場合15,000円~30,000円程度です。その他に、手術前の検査代、入院が必要な場合の入院費用、術後の化膿止めの抗生剤や必要に応じて傷口を噛まないようにするためのエリザベスカラーや術後服、抜糸の費用などが別途かかり、トータルで小型犬で30,000~50,000円、大型犬では50,000~70,000円が目安になります。自治体によっては去勢・避妊手術に助成金制度がある場合がありますので、事前に動物病院や市区町村に確認しておきましょう。

③去勢手術の時期

犬の去勢手術はいつ受けなければならないという決まりはありません。動物病院の方針によっても異なりますが、子犬から飼い始めた場合、性成熟をする頃に行うことが多く、小型犬では生後6か月頃から、小型犬より成長がゆっくりな大型犬では生後10か月頃からが目安となります。

去勢手術自体はもっと若い時期からでも可能ですが、全身麻酔のリスクや去勢手術後の成長を考慮し、性成熟に達する頃に実施する病院が多いようです。オス特有の病気の予防や問題行動防止の観点から言うと、性成熟に達してから1歳ごろまでに手術を受けるのが良いでしょう。また、麻酔をかける事や術後の回復は中高年齢よりも若いうちの方が良いので、去勢手術を検討する場合は早めに獣医師に相談しましょう。

犬が去勢手術を受けるメリット


オス犬の去勢手術を受ける目的の一番は、望まない繁殖を防ぐことですが、その他にも去勢手術を受けるメリットはいくつかあります。

オス犬が去勢手術を受けると、飼いやすくなると聞いたことはありませんか?去勢手術を受けると、発情期のメス犬に突進していったり、マーキングやマウンティングといった飼い主にとって望ましくない行動を抑える効果があります。また、性格が穏やかになりしつけがやすくなる事もあります。さらに、がん(腫瘍)や前立腺の病気などを予防するといった健康面でのメリットもあり、愛犬の寿命を延ばすことにもつながります。ここでは去勢手術を受けるメリットについて詳しく解説していきます。

①ストレスの軽減

オス犬には周期的な発情はなく、発情したメス犬の臭い(フェロモン)に反応して発情します。犬の嗅覚は非常に優れているため、オス犬は遠くに離れたところにいるメス犬の発情にも検知することがあります。オス犬にとって、発情したメス犬がいるのに交尾できないのは大きなストレスとなります。

時には食欲不振に陥ったり、脱走や遠吠えの原因となる事もあります。去勢手術を受けると、オス犬はメス犬の発情に反応しなくなり、性的なストレスを軽減することができます。

②攻撃性やマーキング、マウンティングなどが抑えられる可能性

オス犬は主に精巣から分泌される男性ホルモン(テストステロン)の影響によって、頻繁にマーキングをしたり、攻撃性が出ることがあります。去勢手術を受けると、男性ホルモンの分泌を抑えることができるので、頻繁なマーキング、マウンティングやオス犬同士の闘争を防ぐ効果が期待できます。

ただし、効果には個体差や手術を受けるタイミングなども影響されるため去勢をしても改善されないケースもあります。攻撃性は、飼い主との関係性や犬種、生活環境によっても異なりますが、去勢後は性格が穏やかになることが多いようです。

③病気の予防(オス/メス)

POINT
・精巣腫瘍:
去勢手術は精巣を摘出するので、精巣にできる腫瘍が発生しなくなります。特に、精巣が生後しばらく経ってもお腹の中にとどまってしまう「停留精巣(潜在精巣)」は、腫瘍化するリスクが高いため、去勢手術を行うことが望ましいです。・肛門周囲腺腫:
肛門の周囲や尾根部にできる硬い結節状の腫瘍で、痒みを伴うことがある病気です。高齢未去勢の犬に比較的多く見られる腫瘍で、男性ホルモンが関係しています。治療には、腫瘤の外科的な切除と同時に去勢手術が行われます。若いうちに去勢手術を受けることで、この病気を予防することができます。

・前立腺肥大:
ヒトの男性と同じように、オス犬にも前立腺の病気があり、一番多いのが前立腺肥大です。前立腺は尿道を囲むように存在する副生殖腺で、精液の成分を作る働きがあります。高齢になると精巣から分泌されるホルモンのバランスが乱れる事で肥大がおこり、おしっこが出にくくなる等の症状が見られます。犬種を問わず高齢の未去勢犬に多く発生します。ホルモンや年齢との関連が深い病気なので、若いうちに去勢手術を受けると予防が期待できます。

・会陰ヘルニア:
肛門周りの筋肉の隙間から腸などのお腹の中の臓器や脂肪が突び出し、肛門の周りが腫れて見える病気を会陰ヘルニアと言います。肛門周りの筋肉が薄くなってしまう原因として、男性ホルモンが関与していると言われており、未去勢の中高年齢のオス犬により多く発生します。治療には外科的な整復手術と同時に、再発防止のために去勢手術を行うことが一般的です。若いうちに去勢手術を受けた場合は、会陰ヘルニアを予防できます。

・精巣炎:
細菌感染や咬傷などの外傷などによって陰嚢に起きる炎症を精巣炎と言います。去勢手術では精巣を摘出するので精巣炎にならなくなります。

犬が去勢手術を受けるデメリット


犬の去勢手術には、デメリットもあります。最大のデメリットは手術を受ける際に必ず必要になる全身麻酔のリスクです。

その他にも、男性ホルモンが低下することで代謝が下がり太りやすくなる事や、当然ですが子犬が作れなくなる、といったことが挙げられます。ここでは、去勢手術を受けるかどうか考える際に知っておきたいデメリットについて詳しく解説します。

①全身麻酔のリスク

全身麻酔薬は、犬を動かなくさせ、痛みを感じなくさせるために、手術をする上では必ず必要な処置になります。

しかし全身麻酔薬の副作用として、心臓や肺の機能や全身循環が低下します。そのため、犬が幼すぎたり高齢の場合や、心臓や肺、腎臓の病気がある場合は、麻酔によって合併症を引き起こす可能性があります。

また非常に稀なケースではありますが、麻酔薬が体に合わない場合、劇症のアレルギー反応を起こし、ショックを起こすことが知られています。このような事例があるため、全身麻酔を使用する際には、必ず事前の検査で健康状態を確かめ、病気が隠れいてないかチェックを行います。全身麻酔をかけている間は、心臓や肺の状態をモニターしながら安全をはかり手術が進められます。術前の検査で問題が無ければ、過度に心配する必要はありません。病院によっては麻酔の同意書が必要な場合があります。麻酔のリスクについて獣医師の説明をよく聞き、少しでも疑問や不安がある場合は相談しましょう。

②太りやすくなる

去勢手術を受け精巣がなくなると、血中の男性ホルモンが著しく低下し、犬の代謝は下がります。また、性的な行動が抑えられるため、活動性が低下します。そのため、体重を維持するのに必要なカロリーは、8割程度に減少すると言われています。その一方で、去勢手術後は食欲が増す場合もあります。特に、1歳前後での若いうちに手術を場合と比較して、中年齢以降で去勢手術を受けた場合、男性ホルモンが急激に減少するのでより太りやすくなる傾向がみられます。

去勢手術後は、餌の量を減らしたり、去勢犬用のフードに切り替えるなどしてカロリーコントロールを行い、体重が増えすぎないように注意しましょう。

③子犬がつくれない

去勢手術を受けると、精巣を摘出することでオス犬の繁殖能力をなくしてしまうので、当然そのオス犬の子孫は残せなくなります。

オス犬を飼い始める際は、今後子犬をつくるかどうか、愛犬とのライフスタイルをしっかりと考えておきましょう。

繁殖の予定が無く、去勢手術を受ける予定であれば、性成熟を迎えた以降の若いうちに受ける方が望ましいでしょう。また繁殖させた後で去勢手術を受ける場合も、早めに動物病院に相談しましょう。

犬の去勢手術の流れ


オス犬を飼い始め、去勢手術を受ける場合は、手術を受ける時期などについて、かかりつけの病院に相談しましょう。手術を受ける前には術前の検査を行い、全身麻酔をかけても問題が無いと診断されれば、手術の予約を取ります。獣医師から、手術の説明や手術前の注意点をよく聞き、手術当日まで愛犬の体調を整えましょう。

去勢手術は多くの場合、その日のうちに退院となります。家での過ごし方について病院の指示に従いましょう。術後はしばらく激しい運動を控え、シャンプーなど傷口を濡らすことはできません。

傷口が塞がるまではエリザベスカラーや術後服を使用する場合があります。
傷口の抜糸が必要な場合は、1週間程度で行います。傷が塞がり抜糸が終わるとすべての処置が終わりです。

去勢手術を決めたらすべきこと

去勢手術を受けることを決めたら、動物病院で術前検査を受け、手術の日程を決めます。手術の当日や入院中は、動物病院から緊急の連絡が入る可能性があるため、連絡が入った際に対応できるように予定を開けておきましょう。去勢手術は、愛犬にとって初めての手術や入院になる場合も多いと思います。獣医師に犬の性格や、ペットシートを食べてしまう等の注意したいクセを事前に伝えておきましょう。

術後はしばらく家で安静にさせ、様子を見る必要があります。愛犬が家で静かに過ごせる環境を準備しておきましょう。
また、傷口をなめてしまわないようにエリザベスカラーを使用する場合があります。カラーを付けると犬は動きにくく、食事や飲水がしづらくなります。家具に当たったりしないように部屋を整え、食器の高さを変えられるようにしておくと良いです。

・去勢手術の前日の過ごし方・注意点

愛犬は飼い主のことをよく観察しています。飼い主のあなたが不安な様子を見せると、愛犬も同様に不安になります。飼い主は普段通りにふるまい、愛犬を不安にさせないようにしましょう。

また、「しばらく散歩に行けないから」と手術前日にたくさん運動させたり、ドッグランで疲れさせてはいけません。絶食を始める前に大量に食事を与えたり、普段と違うおやつをあげたりするのもやめましょう。手術前日は普段と違うことをしないようにし、手術に備えて体調を整えましょう。

・去勢手術の当日の過ごし方・注意点

去勢手術当日の過ごし方については、事前に動物病院から説明がありますので、必ず指示に従いましょう。

とくに、絶食(または絶水)が指示通りにできていないと、手術が出来ない事があります。手術当日(手術の時間によっては前日の夜から)絶食させるのは、麻酔中や麻酔後に嘔吐し誤嚥する危険があるためです。もし誤って食事を食べてしまった場合は、必ず獣医師に伝えるようにしましょう。

手術が無事終わり帰宅する際も、術後の過ごし方の注意を良く聞き指示に従いましょう。麻酔の影響がなくなるまでは絶食・絶水となります。食事や水を与えて良い時間の指示があるので確認しましょう。帰宅後は、何かあった時にすぐに対応できるためにも犬の様子をこまめにチェックし、手術を頑張った愛犬とできるだけ一緒にいてあげてくださいね。

犬の去勢手術後の注意点・ケア方法


無事去勢手術が終わり、家へ帰ってからは、愛犬が静かに過ごせるように見守りましょう。手術後2、3日は本調子で無い場合が多いですが、徐々に回復してきます。すこし元気が無くてもおしっこが出ていて、吐き戻しが無く、ある程度食べられている場合は様子を見ても良いかもしれません。しかし、元気が無い状態や食欲不振が続く場合、おしっこが出ない、吐き戻しが続く場合は、動物病院に連絡しましょう。

傷口の治癒には1週間程度かかります。傷口が開かないように手術後の激しい運動は控え、外出も2、3日は控えた方が良いです。手術した場所をよく確認し、傷口が濡れたり汚れないように注意しましょう。傷の抜糸が必要な場合は、1週間程度で抜糸となりますが、それまではシャンプーも出来ません。

エリザベスカラーや術後服を使用する場合は、犬が動きにくくなります。とくに、カラーを使用している場合は食事や飲水もしづらくなるので、カラーの径よりも小さな食器を使い、食器の位置を高くすると良いです。愛犬の行動をよく観察し、過ごしやすいように工夫してあげましょう。また、去勢手術のデメリットでも挙げた通り、去勢後は太りやすくなります。フードの量を減らしたり、去勢済み犬用のフードに変更するなど、体重管理に努めましょう。

犬の去勢手術をした飼い主さんの声


愛犬に去勢手術を受けさせるかどうかについては、これまで説明してきた通りメリット、デメリットがあり、飼い主さんによって賛否両論分かれるところです。最後に、実際に去勢手術をした飼い主さん、しなかった飼い主さんに、その理由や手術を受けたタイミングなど体験談を紹介します。去勢手術を検討されている方は参考にしてみてください。

愛犬の去勢手術をした理由

1、“病気をしてほしくないのと、穏やかになってほしくて1歳の時に手術。術後はマーキングが減り、ゴハンに飛びつくようになったが、穏やかになったかは「?」”
−愛犬が1歳の時に去勢した飼い主さんの声です。やはり去勢をして、穏やかになったりするかどうかは個体差があるようですね。
2、“6か月になって手術。オスならではの病気になってほしくないため。マーキングも減らず行動の変化はなし。強いて言うならマウンティングはなくなったかも。”
―病気の予防を考えて去勢手術を受けたという飼い主さんの声です。愛犬が健康で長生きしてほしいという気持ちが伝わってきますね。その一方で、性格や行動の変化が現れるかどうかは、個体差が大きいようです。
3、“8か月の頃に手術しました。マウンティングを始めたばかりの時で、ちょっと攻撃的だったけれど、術後はおっとり平和主義者になりました。柴犬を飼う人に勧められて手術を受けました。特に性格も変わっていない気がするので、今では去勢しなくても良かったのではと思っています。”
―性格や行動の変化を期待して去勢手術を受けてみたけれど、性格の変化があったという声と、なかったという声の両方があります。性格や行動の変化は、去勢手術を受けて見なければ分からないようです。去勢手術のその他のメリットと総合的に判断すると良いと思います。

愛犬の去勢手術をしなかった理由

1、“過去にもオス犬を飼っていたのですが、去勢せずにも長生きしました。また、愛犬の事を自分のことと重ねて考えてしまい、かわいそうなので受けさせていません。ちなみに愛犬はマーキングはもちろん、足をあげておしっこすることもないので、今のままでも困っていません”
―男性の飼い主さんならではの意見ですね!愛犬の個性によっては、去勢手術を受けさせてまで性格や行動を変える必要を感じない場合もあるようです。
2、“外飼いではないし、不用意にメス犬に近づけなければ去勢手術の必要はないのかなと考えています。過去に何頭かシー・ズーを飼いましたが、どの犬も未去勢・未避妊だったので、『去勢手術を受けさせなければ』という感覚もありません。手術するには全身麻酔が必要ということも、受けさせない一因です。”
−メス犬との接触がなければ、去勢手術を受けさせる必要を感じないという意見です。また、全身麻酔をかけるリスクが高いと判断される場合もあります。去勢手術を受けさせない場合、普段の散歩コースやドッグランでの、他の犬との関わり方など愛犬にきちんとしつけておくことも大事ですね。

最後に


去勢手術にはメリット、デメリットがあり、受けるかどうかは飼い主さんの自由です。受けた場合も受けなかった場合も、それぞれ生活で注意すべきことがあります。飼い主さんが犬の事をよく理解し、それぞれのライフスタイルに合った選択をすることが大事だと思います。

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