【解説】犬がトイレをできなくなった?失敗する10個の理由と対処法

2020/02/15

目次

愛犬がトイレができない理由と対処法


急にトイレを失敗されると、

今までできていたのに突然どうしたの…?

と戸惑ってしまいますよね。

トイレができない要因はさまざまです。

ここでは一般的に言われている要因を10個挙げました。解決のヒントになれば幸いです。

 

POINT

1.反抗期

2.犬の性成熟(生理など)

3.病気よって尿の量や回数が増える「病気やケガ」

4.引っ越しや家族が増えたことによる環境の変化」

5.留守番をストレスと感じてしまう「恐怖心や分離不安」

6.縄張り意識からトイレ以外で尿をしてしまう「マーキング」

7.「高齢・老衰・認知症」の場合

8.「飼い主にかまってほしい」のであえてトイレ以外でおしっこをしている可能性。

9.犬がトイレの場所を理解でいあい「しつけ不足」

10.匂いや足の感覚などが「トイレが気にくわない」

①反抗期

初めて聞く方もいらっしゃるかもしれませんが、犬にも反抗期はあります。

小型犬は6カ月あたり、大型犬は生後9カ月あたりを過ぎたころに見られます。犬のこの月齢は、人間で言うと10歳ぐらいですね。人間の10歳も自我が芽生え、なにかと一筋縄でいかなくなってくる年齢です。犬も同じなのですね。

反抗期の犬は「こんなことしたら飼い主はどうするのかな」「ここまではやっていいのかな」と私たちの反応を試しているのです。

トイレの失敗の他に「無駄吠え」「噛みつき」などいわゆる問題行動と言われることを次々とし始めます。

反抗期におけるトイレの失敗の対応策としては、徹底して無視することです。

怒ったりせず淡々と片付け処理をすることです。絶対にむやみやたらと怒ったりしてはいけませんよ。一度でも反応すると犬は構ってもらえた!勘違いしてしまいます。

飼い主が無反応を続けていると、犬の方も面白くなくなって、そのうちまた素直にトイレで用を足すようになります。

すぐには改善は見られないかもしれませんが、気長にトレーニングを続けましょう。そしてトイレができたときは褒めてあげましょうね!

②犬の性成熟(生理など)

発情期(生理)が来ることによってトイレを失敗してしまう場合もあります。生理中は尿の回数が増えるようです。また、後述しますがオスの発情期では、マーキングもよく見られます。

メスの生理はヒートともいいます。ヒート中は、頻尿の他に、出血、ソワソワして落ち着かない、食欲の低下なども見られます。出血量は個体差が大きいので、小型犬なら飼い主が気付かない間に生理が来ていたということもあるようです。

犬の性成熟は犬種にもよりますが、一般的に生後7~8カ月頃と言われています。年に1~2回のサイクルで発情期が来て、2週間程度で落ち着くきます。

発情期が終われば、いつも通りトイレで用を足すようになる犬が大半です。

ヒート中になぜトイレを失敗してしまう犬が多いのかはよく分かっていません。おそらく興奮状態にあって、犬自身にもよく分からないうちに失敗をしてしまっているようです。
トイレを失敗してしまったときシュンとしているというのをよく聞くので、悪気はないようでちょっとかわいそうになりますね。

そこで叱ったりしても犬が傷付くだけで意味がありません。

対策としては、生理用パンツを履かせることをおすすめします。また、ストレス発散のために外に連れて行ってあげてもいいですね、

発情期には大いにストレスが伴います。軽減させてあげたい場合は不妊手術を考えてもいいかもしれませんね。

③病気やケガ

膀胱炎などの病気で尿の回数が増えているのかもしれません。とくにメスがなりやすい傾向にあります。

1時間のうちに何度もトイレに行くようでしたら膀胱炎が疑われます。

また、高齢のオスの場合「前立腺肥大」の可能性があります。

この場合、症状はこのようになります。

・いつもに比べて尿が少ない
・血尿が出る

前立腺が肥大化すると、近くにある膀胱が圧迫され排尿困難や血尿が引き起こされます。

現在の根本的な治療は去勢手術のみとなっています。

飲み薬もありますが、服薬をやめると症状がぶり返すので根本的には治りません。

他にも、尿の回数が増える病気はこちら。

・尿路結石症
・子宮蓄膿症
・糖尿病
・腎不全
・クッシング症候群

回数の他にも、

・尿の匂いがきつくなってきた。
・量が多くなった。または少なくなった。
・血尿がでた。
・排泄しようとしてやめる。
・排尿時に痛がるそぶりをする。

心当たりがあるようでしたら病院に連れて行ってくださいね。愛犬の健康チェックのためにも尿は普段からチェックしておきましょう。

また、関節など体のどこかに痛みがあってトイレまで間に合わないという可能性もあります。よく観察してあげてくださいね。

④環境の変化

犬は私たちが思っている以上にデリケートな生き物です。

引っ越しなどで大きく環境が変わった場合、ストレスを強く感じているかもしれません。

この場合のトイレの失敗は、愛犬が新しい環境に慣れるまで根気よく基本的なトイレトレーニングをしてくださいね。

決して叱ったりしてはいけません。

また、引っ越しなど大規模な環境の変化でなくても、ほんの少しのことが気になってトイレを失敗してしまう場合もあります。

例えば、部屋の模様替えや、トイレの位置を変えるだけでもストレスを感じる犬もいます。もっと敏感な犬は、トイレシーツの素材を変えただけで戸惑ってしまいトイレを失敗してしまうようです。

ですが、一番の環境の変化と言ったら、新たなメンバーが家族に加わる時ではないでしょうか。今までトイレに失敗したことない犬でも、新たに家族を迎えたらトイレを失敗し始めた!という話はよく聞きます。また、赤ちゃんが生まれたときなども失敗が多くなると聞きます。

これは、大好きな飼い主さんの関心が他に移ってしまってストレスを感じているためです。先住犬が新しいメンバーを受け入れられるような環境を整えてあげることが解決へのカギです。

新しく迎えた家族は可愛いかもしれませんが、先住犬を優先してかまってあげることを意識してくださいね。

それと、それぞれ別の部屋を用意して、お互いゆっくりできるスペースを確保してあげるのもいいかもしれません。一緒に遊ぶ時間をだんだんと増やすなどして徐々にお互いを慣らしていきましょう。

多少時間はかかりますが、先住犬が新しい家族を受け入れられれば問題は解決できます。

⑤恐怖心や分離不安

飼い主がいるときはバッチリなのに、留守になると失敗する…。

それは不安分離の現れかもしれません。

不安分離の場合、トイレの失敗だけでなく、飼い主の姿が見えなくなると吠えたり、部屋を荒らしたりする行為も一緒に見られます。これらは「不安分離症」と獣医学的にも言われる症状です。

近年は不安分離による問題行動を起こす犬が増えてきています。それは、小さいころからずっと誰かと一緒にいる環境で育ち、犬が一匹になる機会がなかったことが原因と言われています。

・家の中でも飼い主につきまとう
・飼い主が出かけるそぶりを見せるとクーンクーンと悲しそうに鳴く
・飼い主が不在になると、帰宅するまで泣き続ける
・粗相をする
・家具や壁をかじる

これらの行動が見られたら、もしかしたら愛犬は不安分離症かもしれません。

対策としては、

・出かける前に犬を散歩に連れて行って疲れさせる
・飼い主は、家を出るときは静かに出ていく(行ってきますの儀式をしない)
・ただいまの儀式もしない
・おもちゃなど犬が遊べるものを用意しておく
・ケージなど、不安を感じさせないような環境で留守番させる
・短い留守番を繰り返し練習(1分→5分→10分と徐々に伸ばしていく)

これらの他に、犬との接し方を根本的に飼い主が変えなくてはいけません。可愛いからといって甘やかしすぎて犬のいいなりになっていては、犬の独立心を育てられません。飼い主が主導権を持つような関係にトレーニングし直すことも必要でしょう。また、不安分離症には治療薬もあります。一向に改善が見られないときは獣医さんに相談してみましょう。

⑥マーキング

犬は基本的に、「自分のお気に入りのところに自分の匂いを付けておきたい」と考えています。これがマーキングです。

マーキングの特徴は、少量の尿をいろいろな場所にします。

去勢していないオスによく見られる行為です。ですが、稀にメスにもマーキングが見られることもあります。「今までは大丈夫だったけれど、多頭飼育をしてからマーキングをし始めた」という声もたまにですが聞かれます。

一番有効な手段は去勢手術をすることです。

ですが100%マーキングがなくなとは一概には言えません。去勢手術をする時期が6歳ごろの中年期以降だと、マーキングが癖になっている場合があります。そうすると、手術したとしてもマーキング癖が治らない可能性が高くなってきます。

対策としては、こういう場合も基本のトイレトレーニングをしっかりし直すというのが大切になってきます。

トイレに成功したらすぐに褒めてご褒美をあげましょう。こうすることで「トイレでおしっこするといいことがあるんだ!」と犬に覚えてもらうのです。

どうしても足をあげておしっこしたいという犬のために、壁付きのトイレを用意してあげるのもいいですね。

⑦高齢・老衰・認知症

高齢になるとどうしても筋力が弱まってきます。

そうすると、尿道のしまりが悪くなり、クシャミをした拍子にちょこっと漏らしてしまうことが多くなります。

また、筋力が弱まっていると、トイレで用を足せたとしても尿を全部出し切ることが難しいです。

そうなると、いつも膀胱内に尿が溜まっている状態になり、これも漏らしてしまう原因になります。

あまりにも頻繁に失敗するようなら「慢性腎不全」の可能性も疑ってみてください。

また、足腰が弱まっているとトイレまで移動が間に合わないということもあるようです。トイレも場所を近くに置いてあげるなどするといいですね。

認知が疑われる年齢にもなってきます。記憶力の低下によってトイレの場所を忘れてしまっているのです。

この場合、犬を叱ってもなにも解決にはなりません。

認知症チェックには「犬の認知症の診断基準100点法」というものが用いられます。当てはまる項目の点数をチェックし、合計点数で犬の認知症レベルを診断できます。項目は食欲、生活リズム、歩行状態、排泄状態など全部で10項目あります。webで簡単に調べられますので気になる方はチェックしてみてくださいね。

老犬のトイレ失敗対策には、オムツを履かせることが愛犬にも飼い主にも負担の少ない一番良い方法と言えます。

最初はオムツを嫌がる犬もいますが、だいたいはすぐに慣れてくれますよ。最近は改良が進んで、履かせやすく履き心地も良いオムツが増えています。一度試してみてはどうでしょうか?

⑧飼い主さんに構ってもらいたいから

粗相をしてしまった犬に大きな声(「あ~!」や「キャー!」など)で反応すると、犬は「おしっこしたら飼い主がかまってくれる」と勘違いをしてしまいます。飼い主の反応が面白いのでしょうね。

その結果、飼い主の関心を引きたいがために、わざとトイレ以外の場所で粗相をするようになってしまうのです。

対策としては犬が粗相をしてしまったときは、まずは犬を他の場所に移動させてから処理してください。なぜかと言うと、「トイレ以外でおしっこしたら飼い主が来てくれる!」と犬が喜んでしまうからです。

また、完全に匂いが消えるように処理をしてください。

犬は自分の匂いがあるところにまた用を足すという習性があります。匂いを完全に絶たないとまた同じところにされてしまう恐れがあります。

粗相には無反応を心掛けると同時に、普段から愛犬と遊んであげる時間を増やしましょう。愛犬は飼い主の目を自分に向けてたくて、問題行動を起こしているのです。一緒に遊ぶことで、かまってほしいという欲求を解消してあげましょう。そうすれば自然とトイレの失敗もおさまっていくはずです。

⑨しつけ不足

家に来たばかりの犬(子犬でも成犬でも)が粗相をしてしまう場合は、トイレの場所をちゃんとに理解できていないという可能性があります。この場合は、きちんとトイレの場所を教える必要があります。

基本的なトイレの教え方を紹介します。

POINT

愛犬がトイレに行きたそうにしてたら速やかにトイレの場所に連れていきます。(犬はトイレを催すと、部屋を歩き回る、しきりに匂いを嗅ぎまわるなど落ち着きがなくなってきます。)

また、寝起き、食後、運動後などもトイレを催しやすくなるのでトイレに連れていくチャンスです。

うまく用を足せたらおもいっきり褒めてあげましょう。

おやつなどご褒美をあげるのも有効な手段です。

そうすることで、犬は「ここで用を足すとご褒美がもらえる」と覚えることができます。

ですが、中にはおやつが欲しいがためにトイレに行ったフリをする賢い犬もいます。なので、犬がトイレの場所を確実に覚えたと思ったら、褒めるのを言葉だけ(「いい子だね」など)にだんだんと変えていくことをおすすめします。

もともと排泄行為自体が「自己報酬的行動」といって犬にとって気持ち良いもので、すでにご褒美の側面があります。ご褒美のおやつなしでもきっと満足してくれるはずですよ。

⑩トイレが気に食わない

トイレの匂いや床などの足の感触など、犬にしか分からないような何か気に入らない要因があるのかもしれません。

犬が一番嫌がるのが、芳香剤などの匂いです。

トイレの匂いが気になるからといって、近くに香りのキツイ芳香剤を置いていないですか?人間にとってはいい匂いでも、犬にとっては嫌な匂いに感じるケースが多々あります。

他にも、トイレの周りに鏡やガラスなどがあり、それらの反射が気になって落ち着かないのかもしれません。

犬も人間同様に、落ち着たところで用を足したいと思っているようです。それと同じように、人通りの多いところや、人が集まるところではトイレをしたくないという犬もいます。

確かに、人がワイワイいるところでは落ち着いてトイレできませんよね。また、綺麗好きな子は、少しでもトイレが汚れていると嫌と感じるようです。

他にも以下のことをチェックしてみてください。

POINT

・トイレの匂いや感触
・トイレは静かなところにあるか
・近くに芳香剤などを置いていないか
・トイレシートやトレーが滑りやすくないか
・トイレは清潔か
・グラついたり不安定ではないか
・トイレの大きさは適切か犬目線で考えてみると突破口がみえるかもしれませんね。

最後に

トイレに失敗したからと言って犬を叱ることは絶対にしてはいけません。

犬は「おしっこしたら怒られた」と、排泄行為自体が悪いことと覚えてしまいます。そうすると飼い主に隠れて粗相をするようになってしまいます。

それと大事なことは、トイレに成功したらたくさん褒めてあげることです!

全てに共通して言えることは、「愛犬の様子をよく観察すること」です。犬はしゃべれません。愛犬が何を求めているのか考えてあげましょう。これらを参考にして、愛犬と素敵な時間を過ごしてください。

関連タグ

この記事を読んだ人におすすめの記事