【初心者完全ガイド】猫パルボウイルス感染症とは?症状や原因、予防方法とは

2021/12/26

目次

猫パルボウイルス感染症とは?

猫パルボウイルス感染症とは「猫汎白血球減少症」や「猫ウイルス性腸炎」とも呼ばれる感染すると命にかかわる病気です。

パルボウイルスは糞便とともに体外に排出されても数カ月から数年ほど生存するウイルスであり、感染力もとても強いです。

このパルボウイルス感染症の感染リスクが最も高いのは生後2~6ヶ月前後の子猫なので、ペットショッなどでは大きな問題として捉えられています。

成猫の場合は、感染しても症状が軽度であるか、発症に至らない「不顕性感染」と呼ばれる状態となることがほとんどです。

猫パルボウイルス感染症の症状

それでは感染してしまった場合、どのような症状がでるのでしょうか。

初期は高熱を出して元気が消失し、食欲不振も現れます。その症状の後を追うように、下痢や嘔吐などの消化器症状が出現します。

急激に症状が悪化してしまうケースが多いです。

感染初期はわかりやすい症状は特に現れず、急激に悪化することも多いです。

活動性がなくなり、うずくまるようなかたちで動かなくなってしまいます。

さらに発熱がみられるようになり、40度前後の熱が出ます。

また、消化器の症状としては、嘔吐や下痢が見られることがあります。

消化器が浮腫を発生させることがあるので、腹痛や腹部が膨らんだりすることがあります。

これらにより体内の水分バランスが急激に乱れ、強い脱水症状を起こします。

悪化していくと血便も出るようになってしまいます。

また、このパルボウイルスに感染してしまうと、総白血球数が減ります。

分裂が盛んな部位である細胞は、ウイルス増殖に適した場所になってしまいます。

白血球の減少に伴って、猫のいわゆる猫カゼといった二次感染を誘発し、悪化することがあります。

猫パルボウイルス感染症の原因

猫パルボウイルス感染症は、その名の通り猫がパルボウイルスに感染すると発症します。

感染経路は、既にパルボウイルスに感染している猫と触れ合う、またはその感染した猫の排泄物を舐めたりすると感染が起こり、発症します。

感染個体から分泌される、糞便、尿や唾液などから感染してしまいます。

ケージ、フード、被毛などにいたるまでが感染経路となりうるため、適切な消毒薬を適切な方法で使用することにより、

感染拡大のリスクを減らすことが出来ますが、消毒だけで感染のリスクを排除することは非常に困難です。

さらにパルボウイルスは細胞分裂が盛んな部位を好み、ウイルスに感染した細胞は機能を失ってしまいます。

また、ウイルスの潜伏期間は数日から、1、2週間程度です。

猫パルボウイルス感染症の予防方法

パルボウイルスは、感染力も強く熱や乾燥にも比較的強いため、環境によっては爆発的に感染が広がる可能性もあります。

どこで感染するかわからない病気ですので、感染しないように自身の免疫力をしっかりつけておくことが非常に重要です。

感染を予防するためにはワクチン接種を継続してしっかり受けることが一番大切なことであり、愛猫を守る最も有効な手段です。

生まれてから生後1ヵ月くらいまで、子猫は母猫からの「移行抗体」で守られています。

成猫でも、パルボウイルスを撃退する抗体をワクチン接種で十分量体の中に作れる状態にしていないと、ウイルス感染を引き起こします。

また、多頭飼育の場合は、すべての猫にワクチン接種を行うことが効果的です。

猫パルボウイルスのワクチンは、どのような環境下で飼育されていても接種したほうが良い「コアワクチン」の1つです。

ワクチンの特徴としては、免疫獲得が早く、免疫保持期間も長いこと、抗体誘導力が強いことなどがあります。

また、子猫の場合、通常は出産後数日間の母乳中にはパルボウイルスに対する母親からの抗体が含まれているので、その抗体がある間は感染に対して抵抗力を持ちます。

しかし、その抗体が8~12週間ほどでなくなってくると、免疫力の低い子猫は特にウイルスに感染しやすい状態になります。

ただ、移行抗体の量が多い早い時期にワクチンを接種しても免疫が十分に作られないことがあります。

また、効果的なワクチン接種を行うための、適切な注射の間隔や回数(ワクチンプログラム)があります。

適切な予防を行うために、獣医師の指示に従いワクチンを接種しましょう。

嘔吐や下痢をしている野良猫などには近づかないようにすること、そして何より、きちんと予防接種をすることです。

猫パルボウイルス感染症は除菌すれば消える?

猫パルボウイルスは非常に安定したウイルスで、環境中で3年間は生存し、室温以下では1年以上感染性を保持、30℃以上の外気温でも、数ヶ月以上生存すると言われています。

また、一般的な消毒薬にも強い抵抗性を示し、グルタルアルデヒド系消毒薬、塩素系消毒薬が有効とされています。

感染した猫に接触した場合、石鹸で手を洗ったくらいではウイルスは消えませんので、注意が必要です。

猫パルボウイルスは、石鹸やアルコールでは死滅しません。

嘔吐物や下痢便が付着したものは、処分したほうが安全です。

床や壁などは、ご家庭にある塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)などでしっかり消毒してください。

使用場所にあわせて、10倍~50倍程度に希釈します。

希釈液につけておけないような物に対しては、塩素系漂白剤をスプレーにして、散布するのも良いでしょう。

猫パルボウイルス感染症の治療

猫パルボウイルスは、急激かつ重症化しやすい感染症のため、猫汎白血球減少症と診断された場合は、一般的に入院して点滴を行いながら集中的な治療を行います。

抗ウイルス剤はありませんので、下痢や嘔吐などに対する対症療法しか方法がありません。

また感染中は、白血球が減少してしまうので、輸血が必要なこともあります。

下痢や嘔吐がおさまったらその後は猫が持っている免疫力でウイルスが失活し、回復することもあります。

しかし、回復できずに数日で亡くなってしまうことも珍しくありません。

特に体力のない子猫は、致死率がとても高いです。

治療にあたっては、身体の状態の観察はもちろんのこと、白血球数を確認していくので、定期的に血液検査も行います。

金額としては、1週間ほど迅速かつ確実な治療を要しますので、入院を含めた治療費は1日1~数万円になることもあります。

食欲がなかったり水を飲んでもすぐ吐いてしまうような状態のときは入院して点滴管理をしながらお薬は注射で投与する必要があります。

また、低タンパク血症や低血糖状態の場合には点滴にブドウ糖やアミノ酸を加えるような末梢静脈栄養管理が必要になるケースがあります。

白血球減少を起こしている場合や、ひどい下痢による腸粘膜障害により体の免疫が落ちているよう場合では抗生剤も使用します。

パルボウイルスは猫から人間にうつる?

犬にもパルボウイルス感染症はありますが、ウイルスの型が違うので猫以外で感染することはありません。

しかし、人間が猫同士の感染を媒介してしまうことはあります。

例えば感染猫のいる場所を通った際に身に付けているものにウイルスが付着して別の場所にウイルスを運んでしまったり、感染猫に触った手で他の猫をなでて感染させてしまう、という可能性も十分にあります。

可能であれば、感染個体を別の部屋に隔離、使用するもの着用するものも隔離部屋専用のものを用意します。

感染個体に使用したタオルなどはすべて破棄し、再使用しないようにしましょう。

猫カフェへ行く時は注意

飼い主が猫カフェに行く場合、愛猫がパルボウイルスに対するワクチン(混合ワクチン)接種をしているかの確認が必要です。

接種してない場合、猫が感染してしまう可能性があるため、接種をしてあげましょう。

しかし、あくまでもワクチン接種は「予防」なので、極力不特定多数の猫がいる場所には行かない方がいいです。

また、このパルボウイルスは一般的な消毒薬にも強い抵抗力を示し、グルタルアルデヒド系消毒薬(ホルマリンなど)、塩素系消毒薬が有効でアルコールは無効とされていますので、十分に注意しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

猫のパルボウイルスは感染してしまったら、大切な愛猫との楽しい日々が過ごせなくなってしまう可能性があります。

まずは、その感染を避けるためにもワクチン接種を早めに行うことが大切です。

飼い主も十分に注意を払う必要があるため気を付けて、愛猫との時間を大切にしましょう。

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