【徹底解説】犬の鼠径ヘルニアとは?症状・原因・予防策などをご紹介
2021/12/23
目次
犬の鼠径ヘルニアとは?
鼠径ヘルニアという病気をご存知でしょうか。
ヘルニアには症状別に数種類に分けられており、鼠径ヘルニアは、よく犬にみられる病気として知られています。
犬のお腹の定位置にあるはずの膀胱や腸管といった臓器や脂肪が、後ろ足の付け根辺りの鼠径部に飛び出てきます。
飛び出てくることによって鼠径部は異常な膨らみが認められ、見た目で「おかしい」ことが判断できるでしょう。
飛び出ている内容物が脂肪のみのときは経過観察で様子を見ることもありますが、
膀胱や腸管が飛び出ていると排尿障害や他の様々な機能障害を起こし危険ですので外科手術による治療が推奨されています。
犬の鼠径ヘルニアの症状
臓器や脂肪が飛び出ている隙間が小さい場合、膨らみの他に目立った症状はありません。
隙間が大きくなると、腸管の場合は下痢や嘔吐・便秘・元気がなくなったり食欲低下などの腸閉塞の症状が現れます。
まれに腸管が飛び出ている出口付近で締め付けられ、熱をもったりヘルニア部分が赤くなってしまったりして痛がることもあります。
妊娠している犬や子宮蓄膿症と診断されている犬の子宮が飛び出る場合もあるでしょう。
犬の鼠径ヘルニアの原因
鼠径ヘルニアが先天性の場合の原因は、現在の獣医学ではハッキリとしたことはわかっていません。
ですが遺伝が大きく関係しているものと考えられています。
後天性の原因として、交通事故や怪我など腹部に強い力が加わると発症の危険度が増えるでしょう。
吠えグセがある犬や出産に排便など継続してお腹に強い力が加わると悪化することもあります。
他にも生まれつき鼠径部分に何らかの異常が認められていると、将来的に鼠径ヘルニアを発症する可能性が高まります。
犬の鼠径ヘルニアの予防策
では、愛犬が鼠径ヘルニアにならないために予防として何か対策はあるのでしょうか。
どんなことに気をつければ良いのかを詳しくご説明していきます。
犬に触れる健康チェックの習慣を作る
鼠径ヘルニアは予防することが難しく、日頃の様子や体の変化をよく観察することが大切となります。
特に後ろ足の付け根部分をよく触って膨らみや痛みを感じていないか観察しましょう。
日頃からスキンシップを兼ねて、体のチェックを習慣化しておくと愛犬の負担になりません。
また、あらゆる病気の早期発見と早期治療に繋がります。
もし疑わしい膨らみを感じた場合は、すぐに掛かりつけの動物病院で診察と検査を受けましょう。
定期的に健康診断を行う
愛犬の体をしっかりチェックしていたつもりでも、飛び出ている部分が小さいと「骨かな」と見過ごすことも多いかもしれません。
また、愛犬が横になってリラックスした状態の場合は膨らみがわかりにくいことも考えられます。
飼い主様が定期的にチェックを行いながら、動物病院での健康診断も欠かさず受けましょう。
犬の年齢によって検査項目は変わりますが、年に一度は必ず全身の検査を受けることをおすすめします。
犬の鼠径ヘルニアの手術の費用は?
飛び出ている部分が小さいときは経過観察となる場合が多いのですが、膨らみが大きく腸閉塞などを起こしていると命に関わりますので外科手術を行います。
鼠径ヘルニアの手術費用は、地域や病院によって差がありますが平均して約3万5千円から10万円程度となっています。
内訳として、入院費・採血やレントゲンなどの術前検査・外科手術費用の3つとなります。
状態によって入院日数や必要な検査は変わってくるので費用もそれに伴い前後するでしょう。
高額となりますので、ペット保険が使えるかどうか飼い主様としても気になるところですが、ほとんどのペット保険は先天異常で保険を使うことはできません。
鼠径ヘルニアも先天性の場合の治療は適用外となります。
後天的の発症については保険適用される場合もありますので、ご加入のペット保険会社に確認しましょう。
犬の鼠径ヘルニアの治療方法と手術
命の危険がある重度の鼠径ヘルニアの治療として、飛び出した脂肪や臓器を元に戻すために全身麻酔による外科手術が必要となります。
入院日数は平均4日から一週間程度になりますが完治が見込める病気でもありますので、獣医師からよく説明をしてもらい愛犬の様子や状態を把握し最善の方法を選択しましょう。
年齢に関係なく発症する病気でもあり、パピー期で発症した場合は経過観察の過程で成長と共に治癒する場合もあります。
ですが、自己判断せずに獣医師の診察を必ず受けてください。
犬の鼠径ヘルニアになりやすい犬種
どの犬種でも鼠径ヘルニアになる可能性はもちろんありますが、なかでも罹りやすい犬種がいます。
この病気は先天的な場合が多く遺伝が関係しているのではと推測されています。
●チワワ
●ミニチュアダックスフンド
●ポメラニアン
●ウエストハイランドホワイトテリア
●ミニチュアピンシャー
小型犬が罹りやすい犬種として挙げられます。
生まれつき鼠径部に異常が出やすいなど様々な見解がありますが、詳しくは解明されていません。
ですが、小型犬はもちろん大きさ問わずに飼い主様が「発症するかもしれない」と意識を持ち、毎日の体調チェックを欠かさずに行って万が一発症しても重症化させないようにことが大切です。
まとめ
犬の鼠径ヘルニアは、様子見の初期段階で発見できれば愛犬に苦しい思いをさせることなく根治が望める病気ということがわかりました。
小型犬には被毛が長い犬種が多く、鼠径部まで触って異常がないかチェックするのは面倒と思うかもしれません。
ですが、自分で何もできない愛犬の病気を見つけ治療してあげられるのは側にいる飼い主様だけです。
健康で元気に生活できるように、定期的な健康診断とセットで管理してあげましょう。
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