【犬の断尾|その理由や意味とは?】する時期や犬種も紹介!
2020/05/11
目次
犬の断尾|その理由や意味とは?
犬の断尾ってご存じですか?
断尾をしている代表的な犬種と言えばコーギーですが、コーギーのおしりを見てもらうとわかるように尻尾がないですよね。
コーギーは尻尾がない犬種と思っている方もいるかもしれませんが、実は立派な尻尾を持っているのです。
しかし、様々な理由から断尾が行われ今に至っているというわけです。
断尾とは、犬の尻尾を根元もしくは、中間部から切り落として短くする事で、非常に古い歴史がありますが、現在でも数十の犬種が短い尾を持つ事が理想的と規定され、断尾の対象となっています。
今回は、この断尾についてご紹介していきますが、まず断尾を行う理由や意味を解説していきましょう。
怪我予防のため
尻尾のケガなど、損傷を防ぐために断尾が行われる事があります。
使役動物としての闘犬・狩猟犬・牧羊犬は、噛みちぎられたり、踏みつぶされたりする事を避けるために昔から断尾が行われていました。
家庭動物としては、多くはありませんが「犬同士で遊んでいる時に尻尾を噛まれてしまう」「尻尾にできたケガから病原体が感染してしまう」「うっかりドアに尻尾を挟んでしまう」など尻尾に関するトラブルを防ぐために断尾を行うブリーダーも存在しています。
犬種の伝統を守るため
犬の断尾は数世紀前より行われており、ヨーロッパでは1700年代から一般的に見られています。
トルコ地方の古代アナトリアにおいては、シープドック犬が睡眠中に尻尾で自分の鼻が隠れ、嗅覚能力が低下する事を恐れて断尾が行われていたという説もあります。
コーギーやドーベルマンなどは、その犬種らしさを維持するために古くから断尾が行われてきました。
犬の品種設定やドッグショーを開催しているケネルクラブでは、一部の犬種において犬種標準として断尾を行われてきた犬種に関しては、犬種の伝統を維持するために、断尾が行われているのです。
断尾を行う犬種としていない長さ
先ほど断尾を行う犬種として代表的なのはコーギーとご紹介しましたので、ここではコーギーについてご紹介していきます。
コーギーのチャームポイントとしてはやっぱりフリフリのおしりではないでしょうか。尻尾がないから可愛いという方も多いですよね。
コーギーは丈夫で活発、遊び好きで聞き訳が良いのが特長です。
元々は牧畜犬として開発された犬種ですので、子犬の頃はとてもやんちゃで噛み癖もある事から、しつけの範囲では人間の言葉を覚えるのに少し時間がかかってしまうので、気長に向き合っていく必要があります。
コーギーは尻尾がないという認識の方も多いですが、元々は立派な尻尾を持っており、断尾をしなければ15センチ~20センチあると言われています。
尻尾があるコーギーも稀にいるみたいですが、断尾は生後3日ほどで行われますので、尻尾がついているコーギーを飼いたい方はブリーダーに直接相談すると良いでしょう。
断尾を行う時期
断尾は尻尾を切るという事ですので、当然痛みを伴うというイメージですよね。
そんな事から愛犬家たちは動物虐待ではないのかと言われる方も多いです。
ここでは、断尾を行う時期と断尾を行う際に痛みはないのか?という事をご紹介します。
ほとんどが生後まもなく
一般的に断尾が行われる時期は、生後2日~5日程度の子犬に対して、ブリーダーや獣医師が麻酔なしの状態で行います。
麻酔をしない理由としては、「生後間もない子犬は知覚が発達していないため、痛みに鈍感である」という考えを前提にしているためです。
一方、痛覚が発達するとされる生後8日を過ぎて断尾を行う場合は、手術による苦痛に対する配慮から、子犬が生後8週目になるまで待って全身麻酔で断尾の手術を行う事もあります。
子犬は痛くないの?
生後まもなくの子犬は痛みに鈍感と今ご紹介しましたが、果たして本当なのでしょうか。
ここでは、本当に子犬は断尾をする時に痛くないのかをご紹介します。
1965年、アメリカの心理学者が15年に渡って子犬の行動発達を研究した結果を発表したのですが、それによると、新生子期の子犬は視覚や嗅覚は未発達ですが、平衡感覚や温度感覚、そして痛覚はしっかりあるという事でした。
何も見えず、聞こえない状態で体の一部を切り取られるなんて、普通に考えると想像できない恐ろしさですよね。
必ずしも断尾=悪とは言いきれませんが、少なくとも断尾は容姿を変えるための人間のエゴという事なのかもしれません。
犬にとってはいい迷惑!?断尾のデメリット
近年は犬の尻尾に関する学術的な研究も蓄積され、安易に断尾する事の悪影響が指摘されるようになってきています。
見た目は確かに可愛いですが、それは人間だけのメリットで犬としてはデメリットでしかない可能性もあります。
そこで、断尾を行う事でどのようなデメリットがあるのかをご紹介しましょう。
他の犬とコミュニケーションがとれない
ある動物学者が「犬の尻尾の長さが意思疎通のサインとして重要である」と結論付けています。
研究によると、断尾された犬に他の犬が近づこうとする際、警戒される傾向が大きいという事です。
理由は断尾された犬は尻尾による意思疎通ができないので、他の犬から「何を考えているかわからないやつ」と判断され、敬遠されるからだと言われています。
尻尾による意思疎通が十分でない犬は、他の犬と交流する機会が減り、必然的に犬は非社会的、かつ攻撃的になる可能性があると指摘されているのです。確かにそうですよね。
犬の尻尾を見て見れば喜んでいるのか、怖がっているのか、怒っているのかが一目でわかります。
しかし、尻尾がない事で今、どんな気持ちなのかがわからないというのは他の犬からすれば警戒しますし、それが普通になってしまうと、コミュニケーションが取れなくて社会性に乏しい犬になってしまうのは悲しい事ではないでしょうか。
痛みや感染症を伴う可能性も…
尻尾は解剖学的に骨のほか筋肉やじん帯、腱や神経、血管が細かく配置されています。
それを切り落としてしまう訳ですから、幻肢痛を始めとしたそれ相応の副作用やデメリットが生じるのは当然です。
幻肢痛とは本来あるべき体の一部を失うと、その失った部位になぜか痛みを感じてしまうという現象で、人間でもこの症状が確認されています。
その他にも、断尾した傷口からの感染症や過剰な出血、傷口の繊維が過剰に再生してごわごわになる、傷口の神経腫と痛感過敏などが考えられると言われています。
また、断尾を失敗してしまうと切り落とすどころか、切り落とす前の尻尾や傷口が腫れ上がったり化膿したりなど、生まれたばかりの子犬に苦痛や痛みを長く与える事になってしまうのです。
子犬の時期にするから絶対に安全という事はなく、稀にこのように危険な状態にしてしまう事もあるという事から断尾を行う事に対しメリットはあるのかと言われています。
犬の断尾の歴史と賛否
断尾についてデメリットをご紹介してきました、断尾は昔から行われている事で古い歴史があります。
昔は普通に行われてきた断尾ですが、近年は断尾に対し賛否が分かれているのが現状です。
そこで、今と昔の断尾の違い、反対意見などをここではご紹介したいと思います。
今と昔の断尾の違い
今と昔の断尾の違いですが、昔の断尾を行う理由としては、狩猟や牛追いの時、馬や牛が尻尾を踏む事故を防ぐためや、キツネなどの動物と間違えないためなど、つまり作業の効率を上げる、作業を安全に行う事が重要視されていたためと言われています。
ですので、昔の犬は主に仕事用として使われていたという事になります。
では、今現在の断尾理由はというと、ジャパンケネルクラブが犬種標準に定めているためや、ブリーダーが慣習として断尾を続けているため、美容整形・ファッション性のためなど、見栄えや愛玩犬としての用途で断尾が行われている事が多いようです。
昔は人が生きていく上で必要だった断尾ですが、現在は無理して断尾を行う意味が果たしてあるのかどうかという事になってきます。
世界的には断尾反対の意見も…
現在では世界的に断尾を反対する方が多く、断尾を法律的に禁止している国もあるほどです。
犬は言葉を発する事ができません。その代わりに、泣き声やボディランゲージでコミュニケーションをとります。尻尾の動きも、犬がコミュニケーションをとる上でとても大切な表現手段となっています。断尾をする事で、犬のコミュニケーションの幅を狭められてしまう事に反対の意見が寄せられているようです。・人間の都合だから
ペット犬の断尾は、見た目の調整だけのために行われていますので、人間が犬の一定の詩型にしたいがために、犬の身体の一部を切り落とす事に対し反対意見が多く寄せられています。
・犬が痛い思いをするから
先ほど尻尾の構造をご紹介しましたが、尻尾も大事な身体の一部です。その一部を切り落とすわけですから、絶対に痛みが伴わないという事はありません。子犬といっても少なからずの痛みを伴っていると考えられていますので、断尾に対する反対意見が多いのです。
まとめ
断尾は賛否が分かれるトピックになっており、人間の都合による無意味な事だと思っている人もいれば、犬種の古くからの姿に重きを置いている人もいるというのが現状です。
世界では断尾を法律で禁止されている国もありますが、日本ではそのような法律はありませんので、どちらが正しいかは一人一人の考え方になってしまうのではないでしょうか。
しかし、今回断尾について詳しく解説させて頂きましたので、断尾についての考え方が少し変わった方もいるかもしれません。
断尾がどのようなものかをしっかり理解した上で、どうしてあげればいいかを考えて欲しいなと思っています。
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