犬の肝臓疾患とは?その原因と対処法、おすすめ療法食3選を紹介

2020/04/29

目次

犬の肝臓疾患とは?


肝臓とは栄養素の分解・合成・貯蓄や体内の毒素を分解して無毒化するなど重要な働きをする臓器で、生きていく上で欠かせない臓器です。

肝臓は機能的に、予備能力や再生能力が高い臓器ですので、肝臓疾患があっても、症状が表れにくく、症状が出た時にはかなり進行している事も多いので「沈黙の臓器」とも言われています。犬の肝臓疾患とは、肝臓に炎症が起きたり、細胞が壊れたり、細胞に脂肪がたまり過ぎるなどして、本来の働きができなくなる事を言います。

先ほどもご紹介しましたが、肝臓は予備能力が高いので、症状が現れてからでは手遅れという事もありますので、早期発見が大切になってくるのですが、逆に早期発見が難しい病気と言えるでしょう。

肝臓疾患になると、栄養障害や解毒機能の低下などにより体の至るところに障害が起こります。症状が進むと毒素が脳に影響し、肝性脳症などの病気にもなってしまう危険性があります。

肝臓疾患は初期であればほとんど症状がなく、進行してくると、食欲低下・体重減少・元気がなくなる・白目や歯茎が黄色くなるなどの症状が現れますが、中々そんな症状も気が付きません。

そこで、一番有効なのは血液検査になります。潜んでいる病気を早期で発見するには定期的な健康診断が重要と言えるでしょう。

肝臓疾患の種類と原因


先ほどもご紹介したように、肝臓は沈黙の臓器と言われていますので、早期発見が重要となってきます。愛犬がいつもと違う様子だなと少しでも感じる事があればすぐに病院で診察と検査を受けるようにしましょう。

肝臓疾患と一言で言っても種類が沢山ありますので、ここでは、肝臓疾患の種類と原因をご紹介していきます。

①急性肝炎

犬の急性肝炎とは肝臓に急激な炎症が起きる疾患です。主に感染や中毒により起こり、これによりかなりの幹細胞が障害を受けてしまった場合、急性肝炎を乗り越えた後に慢性肝炎に移行する事もあります。

急性肝炎の症状は、食欲低下や元気がない、嘔吐や下痢(真っ黒な下痢をすることも)をするなど。

そして、急激な肝炎が起こっていると、白目や耳、お腹に黄疸が見られたり、お腹が腫れたりします。主な原因は、ウイルスや細菌・寄生虫などによる感染性のものや肝毒性のある薬剤や化学物質などの中毒性によるもので、身近にあるもので犬に肝毒性を起こすものとしては、市販の鎮痛剤などに使用されるアセトアミノフェンが代表的で、他にキシリトールやマッシュルームなどがあります。

②慢性肝炎

犬の慢性肝炎は肝実質細胞が様々な原因で炎症が長時間持続している状態の事をいいます。

慢性肝炎の症状は、初期の場合は症状が見られませんが、ある程度まで肝臓の炎症が広がってしまった場合は、食欲低下・元気がなくなる・下痢や嘔吐・体重減少・腹水がたまる・黄疸が出るなどの症状が出てきます。

そしてさらに症状が進行した場合は、血液凝固や肝性脳症・肝硬変などを引き起こす可能性も指摘されている怖い病気です。

慢性肝炎が引き起こされる原因として考えられているのが、若い犬の発症であれば、遺伝的な要因が疑われますが、その他には、有害物質が体内へ入り、肝臓へダメージを与えたケースや、ウイルス・細菌によって急性肝炎を発症し、急性肝炎が長期化して慢性肝炎に発展するケースなどがありますが、ほとんどの場合は、原因不明と言われています。

③門脈体循環シャント

門脈体循環シャントは、門脈と全身の静脈の間をつなぐ余分な血管(シャント)が存在する事により、肝臓で無毒化されるべき有害物質が処理されないまま直接全身を回ってしまい、さまざまな症状が引き起こされる病気です。

症状は、軽症であれば、食欲不振・下痢・嘔吐などですが、重症になってしまうと、アンモニアなどの毒素により、中枢神経症状を特徴とした「肝性脳症」を起こし、よだれやふらつき、元気消失などの軽度症状から徘徊行動・旋回行動・痙攣発作・昏睡といった重篤な症状を起こす事もあります。

シャントの形成には先天性と後天性の要因があり、犬の場合の多くは、先天性が要因となっていますが、後天性の場合は、持続的な門脈高血圧症や、重篤な肝炎・肝硬変などが要因となっています。

④胆泥症、胆石症

胆嚢は、胆汁を生産し貯蓄する器官で、胆汁には脂肪を分解し水に溶けやすい状態にする役割を持っているのですが、成分が変化するとドロドロの胆泥(胆泥症)や石のように硬い胆石(胆石症)を形成します。

軽症の場合は、無症状の事がほとんどですが、形成された胆泥や胆石が胆管に詰まったり、胆嚢の重度炎症が起きたりすると重症化し、命に関わる状態に陥ってしまいます。

原因としては、生活環境(食事量・質・運動量・老化)や体質・遺伝的要因・甲状腺機能低下症・糖尿病・膵炎などがあげられます。

⑤胆嚢粘液嚢腫

胆嚢粘液嚢腫とは、胆嚢内にゼリー状の粘液が過剰に貯まってしまい、胆嚢がパンパンに拡張した状態になり、胆汁の分泌障害や破裂を起こす病気です。

初期であればほとんど無症状ですが、胆嚢内の粘液が限界量になってしまった場合は、胆汁の分泌障害や胆嚢炎・膵炎・肝炎によって嘔吐・下痢・食欲不振・発熱・黄疸などが確認されます。

胆嚢が破裂してしまうと、胆汁による腹膜炎によって命に関わってしまう状態になります。

原因は今のところはっきりわかっていませんが、濃縮胆汁や胆泥・胆石などの刺激が引き金となって、胆嚢壁での粘液の生産が過剰に起こる事ではないかと言われています。

⑥肝リピドーシス

肝リピドーシスは脂肪肝とも言われており、肝臓に過剰な脂肪が貯まるために肝臓が正常に機能しなくなる病気です。

症状としては、元気がなくなったり、食欲不振・嘔吐などが見られ、また寝ている時間が多くなります。症状が進むと、黄疸が見られ、よだれや意識障害を起こす事も。

原因は、栄養障害や脂質の代謝異常・ホルモン異常・ストレスなどが引き金となって起こるとされていますが、現時点でははっきりした原因は不明なケースがほとんどです。

肝臓疾患を少しでも悪化させないためには?


愛犬が肝臓疾患を患ってしまった場合、これ以上悪化させないようにするためには、日常生活でどのような事に注意すればいいのか悩んでいる方が多いと思います。そこで、ここでは、肝臓疾患を少しでも悪化させないために注意する事を詳しくご紹介していきます。

①生活について

人が肝臓疾患を患ってしまった場合は、昔かた安静が第一と言われてきました。食後は吸収された栄養素を処理するために肝臓はフルに働きますので、特に食後については安静が重要だとされています。

しかし、過度な安静は体力や筋力・免疫力の低下を招いてしまい、高アンモニア血症の原因となったり、運動不足による肥満から脂肪肝の原因となったりしますので、肝臓の状態にもよりますが、むしろ適度な運動が肝機能の回復に役立つと言われています。

重症の場合は、安静は絶対になりますが、症状が落ち着いてくると適度な運動を心掛けるようにしましょう。ただし、愛犬の状態で、どれくらいの運動が適しているのかは先生と相談し決めるようにして下さい。

②食事について

肝臓は他の臓器に比べ優れた再生能力を持っているので、適切な栄養管理で回復する場合もあります。

肝臓疾患は、他の病気と比べても食事療法の重要性が高い病気になっているのですが、食欲不振になってしまうと、必要な栄養が摂取できなくなり痩せてしまいます。痩せてしまうと体力・筋力・免疫力が低下してしまいまうので、十分なカロリーや栄養素が摂取できるように、できるだけ消化が良く、嗜好性の高い良質な食事を与えるようにしましょう。

また、食後の肝臓の負担を減らすために食事は1回量を少量で、回数を多く与えるようにして下さい。愛犬の病態によってどのような栄養管理が必要なのかは違ってきますので、先生と相談しながら、食事を選ぶようにするといいかと思います。

・たんぱく質と量に注意する

たんぱく質は肝臓の再生に必要な栄養素であるため、良質なたんぱく質を適量摂取する事が必要ですが、重度の肝臓疾患の場合は、たんぱく質を代謝した時にできるアンモニアが解毒できなくなり、肝性脳症など高アンモニア血症のリスクがたたくなってしまうので、タンパク質の摂取を制限する必要があります。

・糖質(炭水化物)は十分に与える

肝臓の再生のため、たんぱく質をエネルギーの転化する事を防ぐため、炭水化物などの糖質を制限せず適量与えるようにしましょう。糖質の吸収は消化管から速やかに行われるため、少量ずつ、何回かに分けて与えると良いと言われています。

・脂質、銅、ナトリウムの制限

脂肪分の過剰摂取は、肝臓に負担をかけますので、おやつなどで与える事は多いジャーキーなど動物性脂肪を多く含む食品は、酸化した脂肪分が肝臓に負担をかけてしまうため、与えるのは控えましょう。

また、肝機能が低下すると、食事から吸収された銅が肝細胞に蓄積し、活性酸素やフリーラジカルなど細胞に障害を与える物質を生産します。これを防ぐため、銅の摂取を制限する必要があるのですが、消化管から血中への銅の吸収を抑え、亜鉛や活性酸素から体を守る働きを持つ抗酸化物質を多く摂取する事が望ましいと言われています。

そして、進行した慢性肝炎や肝硬変などに伴って腹水や浮腫の症状が出ている場合には、塩分などのナトリウムの制限が必要となってきます。

③健康状態の観察と病院の関わり方

肝臓疾患は症状として表れにくいため、気づかないうちに進行してしまう可能性がある病気です。状態が落ち着いているように見えても、病院を定期的に受診し、検診を受け経過を診てもらう事が大切になってきます。

POINT

以下のような症状がある場合は、肝臓疾患悪化の可能性もありますので、すぐに受診するようにして下さい。

・食欲が落ちてきた
・元気がない
・下痢や嘔吐がある
・皮膚や白目・歯茎などの粘膜に黄疸が出ている
・お腹が膨らんできた
・食後ふらつきがあったり、痙攣発作を起こすようになった
など。

肝臓疾患は悪化してしまうと治療するのが大変な病気ですので、早期発見が大切ですので、血液検査を1年に1回、もしくは半年に1回受けるようにした下さいね。

肝臓疾患療法食について


肝臓疾患の治療において、食事管理はとても重要です。肝臓疾患に使われている療法食は以下のような点に配慮して作られていますのでご紹介しましょう。

・肝臓に負担をかけないように、消化性の良い良質なたんぱく質を適正な量使用
・肝臓疾患に対応するために、栄養素を調整

では、最後におススメの肝臓療法食をご紹介します。

犬の腎臓疾患におすすめ療法食3選

肝臓サポート


肝臓疾患の愛犬のために、人気が高い肝臓療法食です!

ロイヤルカナンの肝臓サポートは、肝臓疾患に伴う高アンモニア血症や肝性脳症を呈する愛犬に給与する事を目的として、特別に調整された食事療法食です。
このフードは、消化性の高い植物性たんぱく質を使用するとともに、銅の含有量を制限し、必須脂肪酸及び亜鉛の含有量を調整しています。
特長としては
・高消化性
高アンモニア血症と肝性脳症に配慮し、大豆分離たんぱくなどに消化性たんぱくを使用
・銅制限
肝細胞内の銅蓄積に配慮し、銅含有量を4mg/kgに制限しています
・高活性酸素物質カクテル
健康を維持するために、複数の高活性酸素物質(ビタミンE・ビタミンC・タウリン・ルテイン)を配合

l/d 肝臓ケア


愛犬の健康的な肝臓機能をサポートする事が科学的に証明された特別療法食です!

l/d肝臓ケアはの主な特長は
・高品質なたんぱく質を使用し、適切な量の分岐鎖アミノ酸(BCCA)を配合
・低レベルの銅
・高レベルのL‐カルチニン配合
・科学的に証明された抗酸化成分

愛犬にとってのメリットは
・肝臓の負担に配慮し、肝臓組織の再生が必要な愛犬の健康に役立ちます。
・肝臓での健康的な脂質代謝に役立ちます。
・肝臓病で不足しがちな栄養素の補給に役立ちます。
・健康をサポートし、免疫力を維持します。

原材料を徹底的に吟味し、高品質なたんぱく質を使用していますので、肝臓疾患の愛犬に是非お試し下さいね。

VetSolution 肝臓サポート


美味しくて肝機能もサポートしてくれる肝臓専用療法食です!

肝臓サポートは、肝臓疾患に伴う窒素性老廃物に配慮し朝護された食事療法食です。
消化性に優れた植物性たんぱく質を豊富に含み、腸内でのアンモニア生成抑制をサポート。
また、銅含有量も制限しています。
主な特長は
・グルテンフリー
食物アレルギー・食物不耐性といったリスク低減のために、グルテンフリー・グレインフリーとなっており、消化にかかる胃腸への負荷を軽減し、食事療法による効果を最大限発揮する事ができます。
・SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)
凍結乾燥メロン抽出物からなるSODを配合しています。
SODは抗酸化酵素で、活性酸素による細胞や組織の損傷を防ぐ働きがあります。
・XOS
消化されずに結腸まで届くキシロ・オリゴ糖類を配合しています。
XOSは腸内フローラを改善し、免疫細胞の生産と調整という役割を果たします。
・低銅
銅の低含有量設計は、銅蓄積症に配慮しています。
・植物性たんぱく質
たんぱくレベルを低めに設定し、消化性の高い植物性たんぱく質を使用する事で尿素生産を抑制し、肝臓代謝サポートに配慮しています。

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