犬のお腹にしこりができたら?その原因と考えられる病気を詳しく解説
2020/02/15
目次
犬のお腹にしこりが…しこりとは?
何気なく愛犬のお腹を撫でていると、何か塊が手に当たる・・・。
この塊は何なのだろうと不安になりますよね。
動物病院へ連れていくべきか、家で様子を見るべきかも気になるところです。
お腹に塊がある場合、どのような病気が考えられるのでしょうか。
この記事では、犬のお腹にしこりがある場合に考えられる
病気や原因、対処法などを詳しくまとめました。
犬のしこりの原因
犬のお腹にできるしこりは、ニキビなど皮膚にできものができている場合を除き、
病気・疾患以外でできることはありません。
つまり、お腹の中にしこりがある場合は、何かしらの疾患があるということになります。
しこりといっても一種類だけではなく、さまざまな原因でできることがあります。
では、実際に犬のお腹にしこりができるのは、どのような病気が考えられるのでしょうか。
次の項目では、犬のお腹にしこりができた際に考えれる病気を紹介します。
犬のお腹にしこりができる原因として考えられる病気は?
犬のお腹にできるしこりには「良性」のものと「悪性」のものに分類されます。
良性の場合は切除することで完治するものがありますが、悪性の場合は「ガン」であり、
しこりを切除しても転移や再発の可能性があります。
ここからは、犬のお腹にできる良性腫瘍と悪性腫瘍を紹介します。
良性腫瘍一覧
犬のお腹にできる良性腫瘍には、「脂肪種」「皮脂腺腫」「犬皮膚組織球種」「マイボーム腺腫」
が考えられます。ここでは、この4つの病気について説明します。
1.脂肪腫
脂肪腫は、脂肪組織由来の良性腫瘍で、皮下組織での発生が多く見られます。
脂肪種と診断された場合、基本的に無治療で大丈夫ですが、場所や大きさによっては内臓など
を圧迫することがあり、その場合は外科的手術などが必要になるでしょう。
2.皮脂腺腫
高齢犬に多く発生する良性腫瘍です。
ピンク色でカリフラワー状の形のものや多発することがあります。
膿や出血を伴う場合があり、外科的手術で摘出をする場合もあります。
3.犬皮膚組織球腫
比較的若い年齢の犬に発生する良性腫瘍です。
ドーム状の形をしており、赤みや脱毛を伴う場合があります。
無治療のばあもありますが、腫瘍が大きくなるようであれば外科的手術を行い切除します。
4.マイボーム腺腫
まぶたに発生する良性腫瘍です。
視界を遮ってしまうことが多いため、良性でも外科的手術で摘出することも珍しくありません。
悪性腫瘍一覧
悪性腫瘍とはガンのことで、「肥満細胞腫」「扁平上皮癌」「メラノーマ(悪性黒色腫)」
が挙げられます。ここでは、それぞれの病気について紹介します。
1.肥満細胞腫
悪性の腫瘍です。
肥満細胞は顕微鏡で見ると細胞が膨らみ太って見えるため、肥満細胞という名前が付けられています。肥満との直接的な関りはありません。しこりの周りが赤く見えることがあり、皮膚のほか肝臓、脾臓にも発生します。
2.扁平上皮癌
悪性の腫瘍です。
膀胱や陰部の粘膜などに発生し、ただれや潰瘍として現れるため、皮膚病と間違われやすい病気です。
3.メラノーマ(悪性黒色腫)
悪性の腫瘍です。
色素(メラニン)を作る細胞がガン化いしたもので、オスに発生率が高く、場所は口腔内に発生することが多い病気です。
腫瘍の場合の考えられる症状一覧
犬に腫瘍ができた場合、どのような症状が現れるのでしょう。
ここでは、腫瘍ができた時に多く見られる症状ついて紹介します。
1.しこり・イボ
体を触って今までになかったしこりやイボがある場合、腫瘍の可能性があります。
悪性腫瘍である場合、ガンであり放っておくと転移してしまう危険性もあるため、早期治療が重要です。また、腫瘍は皮膚だけでなく口内や精巣、足先、爪などにもできるため、普段のスキンシップと一緒にしこりがないか観察すると早期発見に繋げることができます。
2.元気・食欲・体重の低下
元気や食欲の低下は腫瘍に限ったことではありませんが、腫瘍ができた場合でも現れやすい症状の一つです。また、特に悪性腫瘍の場合は体重が大幅に減少することがあるため、普段から定期的に体重測定を行い、体重の変動を記録しておくと良いでしょう。
3.咳・呼吸困難
苦しそうな咳や呼吸をしている場合は、肺炎などのほかに呼吸器に腫瘍ができている場合もあります。
激しい咳や辛そうな呼吸をしている場合は、緊急性を要する場合もあるため早めに動物病院を受診するようにしてください。
4.鼻血・鼻詰まり・くしゃみ・いびき・鳴き声が変わった
犬が鼻血を出すことはまれで、鼻の中に腫瘍ができている可能性があります。
また、鼻詰まりも腫瘍によって鼻呼吸が困難になっている可能性があります。
鼻腔内の腫瘍により回口呼吸をしたり、いびき、鳴き声が変わるなどの可能性があるため長引くようであれば医療機関を受診してください。
5.嘔吐・下痢・便秘
消化器に腫瘍(特に悪性)ができると、嘔吐や下痢、便秘といった症状が現れやすいことが特徴です。
嘔吐や下痢は、腫瘍でなくても脱水症や栄養失調などのリスクが高まるため、注意が必要です。
消化器官のほかにも脾臓や肝臓、腎臓などの腫瘍ができている場合でも同様の症状が発生することがあります。同時に食欲や体重の減少がみられる場合は、動物病院でしっかりと検査をしましょう。
6.血尿・頻尿
腎臓や膀胱、尿道などの泌尿器に腫瘍ができると、頻尿や血尿といった症状が現れます。
これらは尿石症や膀胱炎でも同じような症状が現れます。
膀胱炎などの治療を行っても改善が見られない場合には、腫瘍を疑ってみる必要があるでしょう。
7.体や足の痛み・ふらつき・麻痺
骨や神経に腫瘍ができた場合には、各箇所の痛みや麻痺、足などに腫瘍がある場合にはふらつきといった症状が現れます。
この症状は関節炎などほかの疾患の場合が多いのですが、治療をしてもあまり効果が無いようであれば腫瘍の可能性もあるため一度検査をすることをおすすめします。
8.けいれん発作
脳に腫瘍ができた場合には、突然意識を失ったり暴れるように痙攣をおこす場合があります。
けいれん発作には腫瘍以外に脳疾患や心疾患、血液異常なども考えられます。
いずれにせよけいれん発作を一度でも起こした場合には、病気の可能性が高いため検査をおすすめします。
9.腹囲膨満
食べている量に変わりはないのにお腹が膨らむ、お腹だけが膨らんでいる場合には、腹部に大きな腫瘍があるまたは腹水が溜まっていることがあります。
肝臓や脾臓、腎臓などは沈黙の臓器とも呼ばれており、病気が合っても症状が表れにくく気が付いたときには進行が進んでいることも少なくなりません。
早期発見のためにも、普段から体を触ってしこりがないかチェックをする習慣をつけましょう。
10.多飲多尿
多飲多尿の症状がある場合、クッシング症候群という病気が多いのですが、中には副腎に腫瘍ができている場合もあります。
多飲多尿の症状が出る病気は糖尿病や子宮蓄膿症などたくさんありますが、明らかに飲水量や排尿量が増えた場合は一度病院で検査を受けた方が良いでしょう。
初期症状と早期発見方法
腫瘍には早期発見が何より大切です。
悪性腫瘍であっても、初期状態では症状が表れにくいこともあります。
そのため、毎日スキンシップをとりながらしこりがないか全身を触って確認する方法がおすすめです。
小さなしこりでも確認できた場合には、動物病院を受診し良性か悪性かの検査をおすすめします。
検査は細い針をしこりに刺し、細胞をとって顕微鏡などで調べる細胞診が一般的です。
腫瘍が小さい場合には、健康診断をしても引っかからないことがあるため、しこりを見つけることが
一番効率的と言えるでしょう。
もし腫瘍ができた場合の手術費用
腫瘍が認められた場合には、良性であれば健康に害を及ぼす場合には外科的手術で摘出、
悪性の場合には転移の有無などにより摘出手術を行うか決めることになります。
手術にかかる費用は、場所にもよりますが5~30万ほどが相場です。
その後の治療にかかる費用のことも考えると、元気なうちにペット保険に加入すると高額な治療費を賄うことができます。
もし腫瘍ができた場合の対処法
愛犬の身体にしこりを発見した場合には、自己判断は禁物です。
悪性と良性の見分け方として、色や形などが挙げられますが、それが全てではありません。
悪性腫瘍だった場合には、転移する前に摘出するなどの治療を行う必要があります。
悪性、良性の違いは動物病院で検査を受けることで判断することができます。
腫瘍が悪性だったとしても、早期であれば完治することも珍しくありません。
どんな小さな腫瘍であっても、確認できた場合には検査を受けることをおすすめします。
まとめ
愛犬の腹部にしこりを発見した場合には、腫瘍の可能性があります。
腫瘍には良性と悪性があり、悪性の場合はガンということになります。
良性では脂肪種などがあり、悪性では肥満細胞やメラノーマなどが該当します。
良性か悪性化は、細胞を取って検査することで分かります。
初期の腫瘍は症状が現れないことも多いため、飼い主さんが体を触りながらつけてしこりがないかを
確認する習慣をつけることをおすすめします。
しこりを発見した場合には、どんなに小さなものでも検査を受けることをおすすめします。
ガンだった場合には、早期発見、治療が何より重要です。
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